昭和の高度経済成長期に青春時代を駆け抜けたまだまだ元気なアクティブシニアたち。好きな有名人ランキングも当時の面影を色濃く反映している。
男女共に平均寿命が80歳を超える現代。65歳以上を高齢者と呼ぶとすると、高齢者ライフが始まったばかりの60代後半。まだまだ元気いっぱいのアクティブシニアとも呼ばれる世代は、いったいどんな有名人を好むだろうか。
今回は、ブランドデータバンクが約3万人に聞いた「好きな有名人」の集計結果から、65~69歳の男女のデータを抽出。15~69歳までの全世代のデータと比較した。
平成という一つの時代が幕を閉じようとしている今でも、そこには懐かしの昭和の雰囲気がしっかりと漂っていた。
ビッグ3とサユリストの人気
65~69歳の男女共に人気だったのが、お笑い界の「ビッグ3」。男性1位、女性9位の「ビートたけし(北野武)」、男性2位、女性9位の「明石家さんま」、男性3位、女性7位の「タモリ」が根強い支持を集めている。この3人は、全世代でもトップ10に入る世代を超えた人気者。お笑い界のトップに君臨するビッグ3は、どの世代でもビッグ3なのだ。
65~69歳の世代で、男性4位、女性1位に輝くのが「吉永小百合」。全体では54位にとどまっていることから、この世代特有の人気有名人と言える。
吉永小百合の銀幕デビューは1959年。その後10年間で70本以上の映画に出演。60年代を代表する女優であり、近年も数多くの映画に主演するなど、長年にわたって変わらぬ人気を保っている。
現在65~69歳の世代は、彼女が活躍する60年代を小・中学・高校生として過ごした。吉永小百合と共に青春時代を歩んだ「サユリスト」たちは、今も変わらずサユリストであり続けるのだ。
吉永小百合は歌手としても活躍し、NHK紅白歌合戦に62~66年まで5年連続で出場。日本でNHKや民放4社がカラー放送を本格的に開始したのが60年。64年に東京オリンピックが開催され、65年から70年までは「いざなぎ景気」が続き、カラーテレビ、クーラー、自動車が新三種の神器と呼ばれた。吉永小百合は、60年代の高度経済成長期を駆け抜けた青春のシンボルとして君臨し続けている。
新旧有名人が混在するランキング
男性のランキングには、新旧の有名人が混在しているのが面白い。俳優では、7位に若大将「加山雄三」、12位「高倉健」、13位「石原裕次郎」が選ばれたと思ったら、10位「渡辺謙」や19位「福山雅治」がランクイン。野球選手では、4位「長嶋茂雄」、8位「イチロー」、11位「大谷翔平」と、年代も活躍時期もバラバラな選手が人気を集めた。政治家でも、9位「安倍晋三」に続いて、16位に「田中角栄」が選ばれた。中でも長嶋茂雄、加山雄三、石原裕次郎、田中角栄といった昭和史に残る顔ぶれは、特に好まれている。
男性のランキングでは、13位「綾瀬はるか」「新垣結衣」、16位「石原さとみ」、19位「北川景子」「木村文乃」といった30代前半の女優も人気を集めた。
孫世代のがんばる姿を応援したい
女性のトップ5を見てみると、吉永小百合を筆頭に個性派ぞろい。2位「天海祐希」、3位「黒柳徹子」、5位に先日他界した「樹木希林」と続く。
シニア女性に人気なのが俳優陣。5位福山雅治、7位「木村拓哉」、9位「大泉洋」、14位「田村正和」、20位「佐々木蔵之介」「高橋一生」「高橋克典」「竹野内豊」と、男性ランキングには見られないイケメン俳優が人気を集めた。田村正和は、特に好まれる特別な存在。20位には89年生まれの「佐藤健」、93年生まれの「竹内涼真」が名を連ね、若手チェックにも抜かりがないことが分かる。
「羽生結弦」が3位、14位に大谷翔平と、ピュア感があるスポーツ選手も人気の有名人。14位には同じくピュア感を超えて純朴さが漂う棋士「藤井聡太」がランクイン。孫世代のがんばる姿を応援したい。そんな気持ちが表れている。
Brand Mapとは?
対象セグメントが所有・愛用するブランドの相関関係をビジュアルで表現したもの。対象セグメントに好まれている順に縦に並べた。「平均的」の線からの距離は3万人全体での所有・愛用率との比較を示している。平均的の線上にある場合は3万人全体と所有・愛用率が同じことを意味する。右に行くほどそのブランドが対象セグメントに相対的に好まれており、左に行くほど対象セグメントに好まれているわけではないことになる。