食品保存用バッグの代名詞さながら、圧倒的なシェアを誇る「ジップロック」(旭化成ホームプロダクツ)。競合がほぼ不在のなか、課題はいかにパイを広げるのかだった。たどり着いたのは、キッチンから出ること――。その結果は。
2000年に、炊きたてのご飯をラップに包み、バッグに入れて冷凍保存する「ラップ&ジップ」のテレビCMを放送し、一気に普及した「ジップロック」。
競合がほぼ不在のなか、課題はいかにパイを広げるかということ。目指したのが、“キッチンの外に出ること”だ。「裏ワザ的なイメージで日用品の収納に使う消費者はいたが、これを一般化する試みに挑んだ」(マーケティング部の宮崎貴文氏)。
女性をターゲットに「旅」でアプローチ
まず狙ったのは若い女性層だ。18年夏、人気アパレル店「ビームス」との異色コラボを敢行。ジップロックを使ってトートバッグやリュックなどを製作・販売し、食品以外でもおしゃれに使えることを大胆にアピールした。加えて、人気モデルの蛯原友里を起用し、女子旅のパッキングでのジップロック活用術を紹介するイベントを実施。19年夏も旅での活用術をウェブ動画で配信した。結果、True Dataのデータによれば、19年7月以降、売り上げが前年を大幅に上回る快進撃を続ける。
日本独自の「非キッチンブランド」でプッシュ
極め付きが、日用品用途に特化した日本独自のサブブランド「ジップロック スタイル」の全国発売だ(8月)。パッケージには、衣類や小物をバッグに入れた写真のみを使用。「消費者にこうした使い方もあるという気付きを与えるための“シンボル”」(宮崎氏)として店頭に並べ、従来品も日用品の整理に使うことを促す作戦だ。新たな用途提案にサブブランドまで立ち上げる“荒技”で、全体の底上げを狙う。