紅茶飲料市場でシェア6割と圧巻の存在感を誇る「キリン 午後の紅茶」シリーズ。そのなかで大躍進を遂げているのが、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」。2011年に定番3商品に次ぐ“4本目の矢”として、「おにぎりと合う」を宣伝文句に無糖カテゴリーに進出すると、30~40代男性に支持されてヒットした。
16年にはさらなる裾野の拡大を目指し、嵐の松本潤を起用して、男女ともにどんな食事にも合うオールマイティ性を打ち出した。だが、既存顧客の飲用回数は増えたものの、飲用シーンを広げ過ぎたために焦点がぼやけ、新規層の開拓までには至らなかった。そこで18年4月、新規顧客にターゲットを集中する戦略へ転換した。
男性の心をくすぐった「紅茶ポリフェノール」
狙ったのは、「男性ビジネスパーソンのランチ」。「昼にステーキや唐揚げなどこってりした食事をする人も多いなか、おいしい無糖を飲めば口中がさっぱりする点に絞って訴求した」(キリンビバレッジマーケティング部の大西基浩氏)。テレビCMに加え、YouTubeやTwitterなどデジタル広告の比率を増やしたことで、昼時にスマホでSNS広告を目にした男性の誘引に成功。「紅茶ポリフェノール」というキーワードを打ち出したことも、男性の心をくすぐった。
調査会社True DataのPOSデータによれば、4月から一気に伸長しているのが一目瞭然で、シリーズ御三家の一つ、「ストレートティー」に迫る勢いだ。夏場にスタミナ料理に合うことをスーパーの店頭などで訴えたことも後押し。糖質オフ需要などからくる無糖飲料ブームの波もしっかり捉え、午後ティーブランド全体の売り上げ増を牽引した。
紅茶枠から無糖枠にカテゴリーチェンジ
「おいしい無糖」は従来の女性向けの“紅茶枠”から、男性狙いの“無糖茶枠”に、清涼飲料では異例のカテゴリー替えを図りヒット。
2018年4月
がっつり系男子のさっぱり需要を取り込む
男性ビジネスパーソンのランチ需要に焦点を大胆に絞り、出勤時でもスマホから接触できるSNS中心のデジタルマーケティング施策を強化。昼時に油っこい料理をがっつり食べても、飲めば口がさっぱりするという点を徹底して強調し、緑茶やウーロン茶との差別化を狙った。結果、激戦の無糖茶市場で売り上げ増に成功。
2018年夏
猛暑で売り上げに拍車? 今や定番4品の一つに定着
猛暑の昨夏は、紅茶研究家の磯淵猛氏が夏バテを防ぐスタミナ料理と「おいしい無糖」の相性の良さを宣伝するPOPを店頭で展開し、売り上げ増に貢献。今や午後の紅茶シリーズの定番4品の一つに食い込む。