良品計画で店舗勤務、商品企画、WEB事業などを経験した後、2015年10月にオイシックス(現オイシックスドット大地)へ転じた奥谷孝司氏。17年4月から一橋大学の博士課程で学び、同年10月にはEngagement Commerce Lab.を設立、18年2月には共著書『世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』を出すなど自ら実践する“複業”キャリアをマーケターへ勧める。

マーケティングの「4P」として「Product」(製品)、「価格」(Price)、「プロモーション」(Promotion)、「場」(Place)が挙げられます。「場」は一般的に、店舗の売り場だと考えられていますが、奥谷さんは、もっと広い意味で捉えていますよね。
奥谷 「場」の価値はこれまで、「一等地にこんな店を作ったから、来てください」などリアルの場が前提で、企業視点でした。消費行動は今でも9割はリアルだから、それにもまだ意味はありますが、そんなことをしなくてももうかる時代が来ています。
「場」とは、リアル店舗だけではなく「体験」であり、顧客とのつながり・エンゲージメントを作る場です。そう考えると、場所が店舗か家かは関係ありません。店舗・家に関係なく、シームレスな体験を提供でき、それをエンゲージメントの構築につなげることができれば、勝てる商品が作れます。
ネットで“ポチる”時代、買い物の楽しみは何なのか。昔は「ネットでの買い物はつまらない、インタラクションがない」といわれていましたが、むしろ、1人で買えることに快楽性があったり、「服を10着注文して試着し、7着返品する」といった、リアル店舗ではなかなかできないことにも快楽性が見いだされています。
例えば米アマゾン・ドット・コムは、「買っている」という感覚を持たせない仕掛けをさまざまに試みています。ボタン1つで特定の商品が買える「Amazon Dash」、レジのない店舗「Amazon Go」、音声で注文できるスマートスピーカー「Amazon Echo」などです。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー