良品計画で店舗勤務、商品企画、WEB事業などを経験した後、2015年10月にオイシックス(現オイシックスドット大地)へ転じた奥谷孝司氏。17年4月から一橋大学の博士課程で学び、同年10月にはEngagement Commerce Lab.を設立、18年2月には共著書『世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』を出すなど自ら実践する“複業”キャリアをマーケターへ勧める。

1997年良品計画入社。店舗勤務や取引先商社への出向(ドイツ勤務)、World MUJI企画、企画デザイン室などを経て、2005年、衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとして「足なり直角靴下」を開発して定番ヒット商品に育てる。10年、WEB事業部長に就き、「MUJI passport」をプロデュース。15年10月にオイシックス(現オイシックスドット大地)に入社し、現職に。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。17年4月から一橋大学大学院商学研究科博士後期課程在籍中。同年10月、Engagement Commerce Lab.設立。日本マーケティング学会理事
1997年良品計画入社。店舗勤務や取引先商社への出向(ドイツ勤務)、World MUJI企画、企画デザイン室などを経て、2005年、衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとして「足なり直角靴下」を開発して定番ヒット商品に育てる。10年、WEB事業部長に就き、「MUJI passport」をプロデュース。15年10月にオイシックス(現オイシックスドット大地)に入社し、現職に。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。17年4月から一橋大学大学院商学研究科博士後期課程在籍中。同年10月、Engagement Commerce Lab.設立。日本マーケティング学会理事

マーケティングの「4P」として「Product」(製品)、「価格」(Price)、「プロモーション」(Promotion)、「場」(Place)が挙げられます。「場」は一般的に、店舗の売り場だと考えられていますが、奥谷さんは、もっと広い意味で捉えていますよね。

奥谷 「場」の価値はこれまで、「一等地にこんな店を作ったから、来てください」などリアルの場が前提で、企業視点でした。消費行動は今でも9割はリアルだから、それにもまだ意味はありますが、そんなことをしなくてももうかる時代が来ています。

 「場」とは、リアル店舗だけではなく「体験」であり、顧客とのつながり・エンゲージメントを作る場です。そう考えると、場所が店舗か家かは関係ありません。店舗・家に関係なく、シームレスな体験を提供でき、それをエンゲージメントの構築につなげることができれば、勝てる商品が作れます。

 ネットで“ポチる”時代、買い物の楽しみは何なのか。昔は「ネットでの買い物はつまらない、インタラクションがない」といわれていましたが、むしろ、1人で買えることに快楽性があったり、「服を10着注文して試着し、7着返品する」といった、リアル店舗ではなかなかできないことにも快楽性が見いだされています。

 例えば米アマゾン・ドット・コムは、「買っている」という感覚を持たせない仕掛けをさまざまに試みています。ボタン1つで特定の商品が買える「Amazon Dash」、レジのない店舗「Amazon Go」、音声で注文できるスマートスピーカー「Amazon Echo」などです。

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