ブランド構築から商品開発、デジタルマーケティングまで、マーケティング業務は多岐にわたる。そんな今の時代の「マーケターの仕事」をプロマーケターの富永朋信氏が再定義。今、マーケターが本当にやるべきことを明確にする。

 2019年6月21日に開催されるイベント「日経クロストレンド・ミートアップ」で、「AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」と題し、パロアルトインサイトCEOの石角さんと対談させていただくことになりました。

 今回はそれに先立ち、アジェンダを整理する目的で「マーケターの仕事」を改めて定義してみようと思います。

「ブランド構築」から「EC売り上げの最適化」まで多岐に渡る

 マーケティングに関連する業務は、企業の考え方によって大きな幅があるのですが、乱暴に一般的な分類をすると、

<A>マーケティングコミュニケーション開発
<B>商品開発
<C>(上記を通じた)ブランド構築やブランドマネジメント
<D>流通の最適化・トレードマーケティング
<E>EC売り上げの最適化
<F>(上記のベースとなる)調査・分析を通じたインサイト・知識の獲得

といった感じでしょうか。

 この分類ではそれぞれの項目は関連し合っており、項目間の重複もありますが、直感的に分かりやすく整理した、とお考えください。

 次に、それぞれの項目の具体的な業務内容をざっくりと見ていきます。

<A>マーケティングコミュニケーション開発
(1)調査する、インサイトを探る
(2)アイデアを創る
(3)アイデアの企画化
(4)コミュニケーションデザイン(メディアポートフォリオを考える)
(5)そのモニタリング

<B>商品開発
(1)調査する、インサイトを探る
(2)アイデア創る
(3)そのコンセプト化、企画化
(4)ターゲティング
(5)ポジショニング
(6)プロトタイピング・テスト販売
(7)大規模販売

<C>ブランド構築
(1)ブランドの言語化、会社のビジョンやミッション構築のリード
(2)言語化したブランドビルディングの実行
(3)そのモニタリング、必要に応じたブランド定義のアップデート

<D>流通の最適化
(1)店舗オペレーションの最適化
(2)品ぞろえの最適化
(3)プライシングの最適化
(4)棚割りの最適化
(6)店舗におけるフィーチャープランの最適化

<E>ECにおける売り上げの最大化
(1)購買プロセスにおける課題・改善点抽出
(2)継続的なテストによる継続的な改善
(3)KPI進捗に応じたアジャイルなプロモーション実施

<F>(上記のベースとなる)調査・分析を通じた知識・インサイトの獲得
(1)ビジネスクエスチョン、リサーチクエスチョンの設定
(2)上記に対して最適な調査手法の選定
(3)実査実施、分析、レポーティング

こんな感じかと思います。

 マーケターの仕事としてAからCは分かりやすいですが、DとEに関しては「なぜマーケターが流通や販売まで?」と思われる方がいるかもしれません。これは以前の記事でも言及したように、デジタル化によってお客様の行動をデータで精緻に観察できるようになり、マーケティングがこれまで非マーケティング部門で行われていた「販売」という業務を取り込んだためです。

 今回の対談では、「AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」がテーマですので、上記をAIに親和性が高い形で概念的に再整理する必要があります。

これもざっくりとですが、

(あ)言語の分析、カテゴリー化(ブランド構築、アイデア構築・企画全般)
(い)予測・シミュレーション(品ぞろえ最適化、プライシング最適化など)
(う)画像・ログデータの大量処理(店舗最適化、品ぞろえ最適化など)
(え)モデル化(コミュニケーションデザイン、店舗最適化など)

こんな感じでしょうか。

 ということで、対談当日は(あ)から(え)のそれぞれのポイントについて、AIにどれだけ期待できるのか、あるいはできないのかを専門家の石角さんとお話しできればと考えています。

どうぞお楽しみに!

(写真/shutterstock)