「売らない店」をキーワードに店舗の改革を進める丸井グループ。シリコンバレー発のショールーム型店舗「b8ta(ベータ)」への出資、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランド支援会社の設立など矢継ぎ早に大きな発表を行った。青井浩社長に丸井の目指す未来型店舗の姿や次世代店舗で重視すべきKPI(重要業績評価指標)、b8ta出資の狙いなどについて聞いた。

青井 浩(あおい ひろし)氏
丸井グループ 代表取締役社長
1961年生まれ。慶応義塾大学卒業。86年丸井(現丸井グループ)入社。91年に取締役 営業企画本部長、2001年に常務取締役 営業本部長に就任。04年代表取締役 副社長を経て、05年4月より代表取締役社長に就任

b8taに出資した理由は。

理由は大きく3つある。まず、D2Cをはじめとしたデジタル・ネイティブ・ストアをつくっていくときに、象徴的なパートナーだからだ。b8taが丸井をパートナーに選んだことの波及力が1つ。

 2つ目がb8taの持つ技術基盤だ。D2Cのポップアップショップを展開するうえで、b8taのデジタル技術を活用していけること。最後はD2Cに多様な選択肢を与えることだ。ネットショップを設けたい場合はBASE、リアル店舗で実験するときは60センチ四方の省スペースで始められるb8taを活用するというふうに、ブランド育成のためのプラットフォームを充実させるために出資をした。

「b8ta」の技術を活用した新型小売り

米国のD2Cを支援する店舗は、出店ブランドに店舗で取得したさまざまなデータを提供している。丸井ではどのような仕組みづくりを目指すのか。

(スーツのD2Cを展開する)FABRIC TOKYO(東京・渋谷)や、パーソナライズシャンプーの「MEDULLA」のような、技術力のある企業は自分たちで店舗のデータを取得して活用している。一方、小さなブランドはそこまでのシステムを持てない。そういうブランドにサービスを提供するのがb8taだ。まず、ブランドが大きくなるまでの過程でb8taの仕組みを活用してもらう。

 さらに、b8taの仕組みを活用したポップアップショップを丸井で展開できるように話をしている。b8taはデジタルガジェットなどを中心に販売しているが、丸井が企画するポップアップショップではアパレル、雑貨、飲食なども扱えるようにしていく。出展ブランドには、b8taの技術基盤を使い、店舗のデータを提供できるサービスと併せて提供していく。

 一方、丸井は人材を中心としたアナログに強みがある。b8taの最新テクノロジーを活用し、同時に当社の強みを生かした水準の高い接客を提供することで、デジタルデータだけでなく、接客で得た定性的なデータもブランドにフィードバックできる。その価値は何倍にもなるはずだ。

米シリコンバレーのパロアルトに新装開店した「b8ta(ベータ)」の店内。20年夏に日本でも店舗を展開する
米シリコンバレーのパロアルトに新装開店した「b8ta(ベータ)」の店内。20年夏に日本でも店舗を展開する

そうしたデータは融資にも使える。

その通りだ。実際の取引実績に基づくデータは最大の与信の基盤になる。外部の金融機関とは違う基準で審査できる。既にD2Cブランドは投資ニーズよりも運転資金のニーズが高いことが分かっている。ここにしっかり応えていきたい。融資を受けづらい有望なD2Cブランドにスムーズに資金提供をし、店舗の集客力の向上につなげることで丸井の本業との相乗効果が生まれる。また、そうした中から株式公開をする企業が現れれば、リターンも期待できる。

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