えちごトキめき鉄道の社長に就任した鳥塚亮氏。前職のいすみ鉄道社長時代にはアイデアマンぶりを発揮し、同社の知名度を飛躍的に向上させた。新たにかじ取りを引き受けることになったトキ鉄の最大の武器は、観光列車「雪月花」。これをどう生かして活気を呼び戻すか。トキ鉄に懸ける思いを聞いた。

(写真/増井友和)
(写真/増井友和)
鳥塚 亮(とりづか あきら)氏
えちごトキめき鉄道社長
1960年東京都生まれ。明治大学商学部卒。90年、ブリティッシュエアウエイズ入社。20年以上にわたり一貫して成田国際空港で旅客、運航部門勤務。旅客運航部長。92年、鉄道のDVDを制作するパシナコーポレーションを設立、電車の運転席から前方の風景を撮影した前面展望ビデオを制作出版。DVDの本数は通算600タイトルを超え、日本で最多の鉄道ビデオを販売する。2009年、経営立て直し中のいすみ鉄道の社長公募に応募し、採用される。18年6月、いすみ鉄道社長を任期満了に伴い退任。19年9月、えちごトキめき鉄道社長に就任

2019年9月にえちごトキめき鉄道(トキ鉄)の社長に就任されました。地域の鉄道の役割をどのように考えていますか。

鳥塚氏 地方にとっての課題は、どうやって都会の人に自分たちの存在を知ってもらうか、どうやって情報発信をしていくのかということだ。それがうまくできれば興味を持ってもらえたり、実際に来てくれて特産品を買ってもらえたりする。その点、鉄道があれば世の中の注目を集めやすいし、地域の広告塔のような役割を担うことができる。

 運賃収入という直接的な部分だけでなく、人が来れば宿泊や飲食でお金を落とすなど、地域に何らかの形でプラスになる。鉄道を上手に利用することで地域を良くすることができる。

具体的に、どのようにトキ鉄をアピールしようと考えていますか。

鳥塚氏 トキ鉄には16年に導入した「えちごトキめきリゾート雪月花」という豪華列車があるが、これは客単価でいうと1人2万円コース。もうちょっと気楽に楽しめるセカンドブランドの必要性を感じていた。とはいっても、財政的に厳しい会社なので、車両は通常運行だけでギリギリの台数しかなく、臨時列車を走らせる余裕はない。だったら、夜間、車庫に眠っている時間を活用すればいいのではないか。

 そこで、19年12月28日の深夜から翌日早朝にかけて、トキ鉄初の夜行列車「冬休み親子夜行列車体験号」を運行した。ネットだけの告知で申し込みを受け付けたところ、用意した20組が1分で完売。需要があることは分かった。とりあえず1回やってみて、ノウハウを蓄積したうえで第2弾、第3弾と続けていこうと考えている。

豪華観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」。通常は土曜・休日を中心に上越妙高駅─糸魚川駅間で1日1往復運行し、海と山の景色の両方と、地元の食材を生かした料理を楽しめる。写真の背景は妙高山
豪華観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」。通常は土曜・休日を中心に上越妙高駅─糸魚川駅間で1日1往復運行し、海と山の景色の両方と、地元の食材を生かした料理を楽しめる。写真の背景は妙高山
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