えちごトキめき鉄道の社長に就任した鳥塚亮氏。前職のいすみ鉄道社長時代にはアイデアマンぶりを発揮し、同社の知名度を飛躍的に向上させた。新たにかじ取りを引き受けることになったトキ鉄の最大の武器は、観光列車「雪月花」。これをどう生かして活気を呼び戻すか。トキ鉄に懸ける思いを聞いた。
えちごトキめき鉄道社長
2019年9月にえちごトキめき鉄道(トキ鉄)の社長に就任されました。地域の鉄道の役割をどのように考えていますか。
鳥塚氏 地方にとっての課題は、どうやって都会の人に自分たちの存在を知ってもらうか、どうやって情報発信をしていくのかということだ。それがうまくできれば興味を持ってもらえたり、実際に来てくれて特産品を買ってもらえたりする。その点、鉄道があれば世の中の注目を集めやすいし、地域の広告塔のような役割を担うことができる。
運賃収入という直接的な部分だけでなく、人が来れば宿泊や飲食でお金を落とすなど、地域に何らかの形でプラスになる。鉄道を上手に利用することで地域を良くすることができる。
具体的に、どのようにトキ鉄をアピールしようと考えていますか。
鳥塚氏 トキ鉄には16年に導入した「えちごトキめきリゾート雪月花」という豪華列車があるが、これは客単価でいうと1人2万円コース。もうちょっと気楽に楽しめるセカンドブランドの必要性を感じていた。とはいっても、財政的に厳しい会社なので、車両は通常運行だけでギリギリの台数しかなく、臨時列車を走らせる余裕はない。だったら、夜間、車庫に眠っている時間を活用すればいいのではないか。
そこで、19年12月28日の深夜から翌日早朝にかけて、トキ鉄初の夜行列車「冬休み親子夜行列車体験号」を運行した。ネットだけの告知で申し込みを受け付けたところ、用意した20組が1分で完売。需要があることは分かった。とりあえず1回やってみて、ノウハウを蓄積したうえで第2弾、第3弾と続けていこうと考えている。
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