特集「未来の市場をつくる100社」では、2030年にむけて新しい消費トレンドや、市場を生み出す技術を持つさまざまな企業を紹介してきた。少子高齢化という社会課題を抱える日本。そうした特徴を持つ市場で、起業し花開くと予測されるベンチャーの条件について、オプトホールディングの共同創業者で、投資会社オプトベンチャーズ代表取締役を務める野内敦氏がマーケティング的視点で語る。

野内 敦(のうち・あつし) 氏
オプト(現オプトホールディング)共同創業者、取締役副社長グループCOO(最高執行責任者) 兼 オプトベンチャーズ代表取締役
2006年からオプト(現オプトホールディング)の全社COO、複数の戦略子会社の設立・運営に携わる。13年より投資育成事業の責任者として陣頭指揮を執り、出資先ヘの経営指導やビジネスモデル開発を支援。15年からオプトベンチャーズ代表取締役を兼任

以下、野内敦氏談

 世界から見て日本は特有の特徴がある。誰もが知っている通り、人口が伸びず減っていく。そうした日本という市場では顧客が増えず、スマートフォンやネット人口は頭打ちになる。オプトの顧客企業のマーケティング戦略も変わりつつある。従来のマーケティングは、大量生産でマスに訴えかけて売る。それは国が成長しているときはいいが、GDP(国内総生産)の成長が鈍化するにつれ効きづらくなる。そこで一人の顧客に手厚く、エンゲージメントするマーケティングを重視する企業が増えている。

 以前は広告予算が1億円あったら、その1億円をほとんど刈り取り、つまり新規顧客獲得に使っていた。ところがマスマーケティングを実施しても、そもそも広告主の商品やサービスに接した経験のないユーザーは少なくなってきている。すると、広告効率が悪くなる。そこでCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)などを導入して、CRM(顧客関係管理)に力を入れる企業が増えている。昔からマーケティングの世界では、既存客から売り上げを上げるのにかかるコストは、新規顧客獲得の5分の1で済むといわれている。マーケティングコストのうち1~2割を既存顧客に使うようになってきた、それが今の日本市場だ。

 少量生産で直販というD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)が登場したのも、その市場の変化の表れだろう。今はバズワードで言えば「サブスクリプション」だが、それは定額課金がポイントではなくて、いかにユーザーと長くつながる仕組みを作れるかという視点で注目を集めている。一人の顧客といかに接点を持つかということが、5年、10年の長期で重視されるようになる。サブスクやD2Cはその走りだ。これは労働人口が増えないところに起因するサービスであり、BtoC(消費者向け)市場の領域で起きている。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>