エイベックスが、ネットクリエイター育成に本腰を入れ始めた。ネットでのライブ配信やYouTuber事業を展開する2社を子会社化したと3月に発表、インフルエンサーの育成に特化した新会社も設立した。ネットクリエイター関連の事業を加速する狙い。100億円規模の売り上げに育てたいという。
傘下に入ったのは、ライブ配信者支援事業等を展開するTWHと美容系YouTuber事業を展開するMAKEYの2社。両社は「ライバー」や「YouTuber」など、ネットで活躍するクリエイターを抱える。エイベックスは、芸能プロダクションであるエイベックス・マネジメントに174組、約300人のアーティストやタレント、モデルなどが所属しているが、両社をグループ内に取り込みネット領域のタレント事業を強化する。YouTuberなどを育成する新会社エイベックス&CJTV Influencerも2月に設立し、ネットでの動画広告やインフルエンサー広告などでも収益を得られる体制作りを急ぐ。
ネットクリエイター関連では、「HIKAKIN」や「はじめしゃちょー」といったYouTuberなどをサポートするUUUM、VTuber(バーチャルユーチューバー)の「キズナアイ」らを抱えるActiv8などが先行する。音楽・映像事業、芸能プロダクションなどを広く手掛けるエイベックスの本格参入は、マーケティングなどでのタレント活用の新たな選択肢となる可能性がある。エイベックスのグループ執行役員新事業推進本部長の加藤信介氏、エイベックス・マネジメント執行役員本部長の都築裕五氏に狙いなどを聞いた。
TWHとMAKEY、ネットクリエイターを支援する2社を子会社化した。
加藤 2社をグループに取り込むことで、ネットクリエイターのポートフォリオを拡充できる。TWHはライブ配信者支援事業などを展開している「SHOWROOM」や「MixChannel」などで動画を配信するライバーと呼ばれているクリエイターのエージェンシーだ。これまでに約5000人が同社のアカウントを通じて動画を配信している。MAKEYは美容系のユーチューバーのマネジメントをしている会社で、30人弱のYouTuberを抱えている。
都築 エイベックス・マネジメントでは、アーティストや俳優・タレントが所属する他、エイベックス・アーティストアカデミーを通じてミュージシャンやダンサーなどを養成してきた。プロになったときの出口(出演先)まで一気通貫で手掛けてきたが、タレントは自分でお金を稼げるポイントが実は少ない。アーティストならライブで稼げるが、タレントの収入の中心は広告と出演料だ。
マネジメントを担当し始めたのは2年前だが、ネット領域で活躍している人にお金が回っていることに改めて気が付いた。子どもたちから見たらネットで活躍している人も「芸能人」だが、エイベックスはネット領域で活躍しているタレントが少ないことに危機感を持っていた。ネットに活躍の場が広がっていることは、タレントから見ると選択肢が増えているということ。これまでのモデルに頼らなくても活躍の幅を広げられる。
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