旭化成は「位置・行動センシング技術を用いたビジネスアイデアコンテスト」を実施した。位置・行動センシング技術を生かしたビジネスを米国で立ち上げるに当たり、米国における課題や潜在ニーズを発掘することが狙いだ。コンテストの開催を主導したのは、スマートフォンに搭載されている電子コンパスの“生みの親”である同社シニアフェロー上席理事の山下昌哉氏。山下氏に、技術マーケティングの重要性や、旭化成流のオープンイノベーションについて聞いた。

山下昌哉(やました・まさや)氏
旭化成 シニアフェロー 上席理事 山下昌哉研究室
東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 博士課程修了。1982年4月、旭化成工業(現旭化成)入社。MRI(磁気共鳴断層像診断装置)やLIB(リチウムイオン二次電池)の開発、事業化に従事。2000年、研究開発本部中央技術研究所にて電子コンパスの開発に着手。03年、世界初の3軸電子コンパスを実用化。08年に登場したAndroidスマートフォンに同社の電子コンパスが標準搭載された。10年より旭化成グループフェローに就任。12年5月、発明協会主催の全国発明表彰で「恩賜発明賞」を受賞。15年4月、「紫綬褒章」を受章。16年3月から山下昌哉研究室長。

山下さんは生粋の技術者でいらっしゃるが、日経クロストレンドはマーケティング専門メディアだ。ただ、読者であるマーケターは、新しい事業領域の開発やイノベーティブな商品・サービスの開発に関心が高い。

日本で「マーケティング」というと、製造業であれば自社製品をどういう市場に向けてどんなアピールをすればよりたくさん売れるか、新しいマーケットが開けるか、それを考えることがマーケティングだと思っている方も多いだろう。私の理解では、マーケティングは2つある。出来上がった製品をどう売るか、これももちろん重要ではあるけれども、私自身はどちらかというと、その前段階、これからどんなものを作ればいいのか? その方向を決める、研究開発のためのマーケティングがより重要になっていると考えている。

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