コンサルティングファーム・A.T.カーニーの日本法人会長を務める梅澤高明氏は、「コロナ禍の文化活動と関連業界に対しては、短期的な救済策と、中長期の策つまりwithコロナやアフターコロナに向けて事業モデルをどう進化させるかを考えていく必要がある」と言います。

 本連載は、「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか。そして、どのように磨けばいいのかについて、成功談も失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、分かりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。

 今回は梅澤高明さんにご登場いただきます。梅澤さんとの縁は、ある審査会の委員をご一緒したのが始まり。審査会は上から目線で物申す場になってしまうこともあるのですが、梅澤さんは違いました。鋭い指摘をしながら、応募者に対する温かいまなざしがある。だから、その場の空気が和んでいく。多面的な視野を持っている方と感じたのです。

 その後、梅澤さんのオフィスを訪ねておしゃべりし、コンサルティング会社を率いながら、イノベーターたちに向け、場所(スペース)、資源(リソース)、支援(サポート)を提供する「CIC」の仕掛け人であること、政府のいくつかの委員会に名を連ねていること、「ナイトタイムエコノミー推進協議会」というユニークな組織を立ち上げたこと。いくつもの顔を持っていると驚きました。

 そんな梅澤さんに、新型コロナウィルス流行の渦中にあって、「勘」と「感」をどう働かせているのかを聞いてみました。

A.T. カーニー日本法人会長/CIC Japan会長の梅澤高明氏。東京大学法学部卒、MIT経営学修士。日米で25年にわたり、戦略・イノベーション・マーケティング・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン、知財・デザイン、インバウンド観光、税制などのテーマで政府委員会の委員を務める。一橋ICS(大学院国際企業戦略専攻)特任教授
A.T. カーニー日本法人会長/CIC Japan会長の梅澤高明氏。東京大学法学部卒、MIT経営学修士。日米で25年にわたり、戦略・イノベーション・マーケティング・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン、知財・デザイン、インバウンド観光、税制などのテーマで政府委員会の委員を務める。一橋ICS(大学院国際企業戦略専攻)特任教授

川島 梅澤さんはコロナ禍の今、どんなことを意識して活動されていますか。

梅澤 現場から声を上げ、より良くしていくことの大事さです。例えば、理事になっている「ナイトタイムエコノミー推進協議会」は、日本の街づくり、文化創造、観光の観点から、夜のさまざまな活動を質、量ともに上げていくことを目指しているのですが、新型コロナウイルス問題で、あらゆる活動が難しくなっています。例えば、ライブハウスやクラブは、従来のようなライブイベントができないので無観客の配信イベントにシフトしています。ところが東京都は、これらのイベントは「感染拡大防止協力金」の対象外になるとの方針を出しました。アーティストや民間事業者などがツイッターで声を上げ、推進協議会としても東京都に働きかけ、3日くらいで問題解決できました。

川島 あえて偏見を交えて言うと、お役所相手でそれができたとはびっくりです。

梅澤 今はまさに未曽有の事態。即動かねばということで、国や自治体の対策も、何もかもが急ごしらえになっているのです。だからこそ本来の目的に立ち返り、そのためにどうしていったらいいかを共に考えることが肝要。多少型破りでも、今なら受け入れる素地があるのではないでしょうか。そうしないと前に進んでいけないと思うのです。

川島 これからのこと、梅澤さんはどう見ていますか。

梅澤 文化活動と関連業界に対しては、短期的な救済策と、中長期の策つまりwithコロナやアフターコロナに向けて事業モデルをどう進化させるかを考えています。例えば、ハイブリッドのべニューなどは、もっとやっていくべきだと思います。

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