「ひふみ投信」を手掛けるレオス・キャピタルワークス社長・最高投資責任者の藤野英人氏は、「自分を主語にして考えられるかどうかが、優れた投資家の資質。出資したお金を回収するのは投資のほんの一部のことで、本来はもっと幅広い概念を持っている」と言います。

 本連載は、「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか、そして、どのように磨けばいいのかについて、失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、分かりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。

 今回は前回に続き、レオス・キャピタルワークスの社長を務める藤野英人さんにご登場いただきました。藤野さんは成長企業に投資するファンドを手掛ける一方で、投資教育に力を注ぐなど、幅広い活躍をされています。

 35歳以下の起業家たちは、大半の起業家の目的が成功者になってたくさんのお金を手に入れるところにあるのとは違い、何かを変化させることにダイナミズムを感じている。なぜなら彼らの親は団塊世代の下で、子どもにマッチョな価値観を押しつけてこなかったから。

 一方で、今の10代から20代の人たちの中には、ゆとり教育の影響もあり、突出した才能を持っていて、顔つきも態度も大人という人がいること。それが2000年くらいの米国の状況と似ていて、日本も2040年くらいには、時価総額上位の会社が大きく塗り替わっていくことなどを伺いました。

 最終回は、激変する時代の中で、「勘」と「感」をどうやって磨けばいいかについて聞いています。

レオス・キャピタルワークス社長・最高投資責任者の藤野英人氏。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネジャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、明治大学商学部兼任講師、東京理科大学上席特任教授。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『お金を話そう。』(弘文堂)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)
レオス・キャピタルワークス社長・最高投資責任者の藤野英人氏。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネジャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、明治大学商学部兼任講師、東京理科大学上席特任教授。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『お金を話そう。』(弘文堂)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)

川島 優秀な若い起業家たちが、日本でどんどん生まれているという前回のお話、随分と勇気づけられました。

藤野 たまたま先日、東大と京大の学生で、データマーケティングを専門とする子たちと話す機会があったのですが、彼らが目指しているのは、自分で起業する、自分が面白いと感じている起業家の会社に入る、GAFAに行く、大学の研究所に行くといったこと。国内の有名企業や大企業に入る選択肢は、そこに含まれていないんです。

川島 どうしてですか。

藤野 ゼロから徒弟制度で経験を積んでいく、もっと言えば終身雇用制度に基づいた給料からスタートする、そういったプロセスを踏むことを無駄だととらえているんです。

川島 はっきりしているのですね。

藤野 会社名というより、自分が誰とどこで何をしているかということで、未来の人生が開けることを、よく分かっているのです。

川島 会社員生活が長い人って、未来が変わっていくことに対して、不安を抱いてはいるものの、そこまでリアルにとらえてない。自分が働いている間は何とかなるだろうみたいな。

藤野 それはもう重症です(笑)。どこかに所属して、言われたことをタスクとしてこなすことが仕事という人にとって、非常に苦しい時代になってきているんです。自分のやりたいことを本気でやっていくことが求められる、つまり好き嫌いで決めることが大切な時代なのに、自分の好き嫌いが分かっていない人が多すぎます。そういう人は「勘」や「感」の働きようもないですから。

川島 そういう人が自分の好き嫌い、つまり判断軸を取り戻すには、どうすればいいのでしょう。

藤野 まず、小さいことでもいいからやってみることです。趣味を始めるとか、新しいグループに入るとか。身近なレベルで言えば、中学や高校、大学時代の仲間と会ってみるでもいいのです。違う世界に触れることで、目が開けるところがあると思います。

川島 長いこと蓋をしてきたところを、こじ開けてみるのですね。

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