ピエール・エルメ・パリが2018年秋にオープンした「Made in ピエール・エルメ 丸の内」。菓子以外の食料品や雑貨も扱う新店舗は、なぜフランス発の菓子ブランドなのに名前がカタカナなのか。その深い理由を、日本代表を務めるリシャール・ルデュ氏が明かした。
本連載は、「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか、どのように磨けばいいのかについて、成功談も失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、分かりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。
今回は前回(「ピエール・エルメはなぜ異色コラボに注力? 携帯電話やクルマも」)に続き、「ピエール・エルメ・パリ」の日本代表を務めるリシャール・ルデュさんに登場いただきます。ピエール・エルメ・パリが独自性のあるブランドとしての価値を高めるために、ファッションのラグジュアリーブランドの手法を取り入れたこと。一流のクリエイターを起用し、ショップやパッケージデザインなど細部にまでこだわり、1つの世界観を作る工夫を凝らしたこと。お菓子をアートの1つととらえ、さまざまな分野のアーティストとコラボレーションしたことなど、盛りだくさんな話を伺いました。
業界の常識や枠組みにとらわれることなく、他業界とも積極的につながることで、より大きな世界観を描いていく――。リシャールさんならではのブランド作りが成功への道を築いたのだと腑(ふ)に落ちました。今回は日本で展開を始めた新しい業態について、未来に向けた構想も含め、聞いています。
川島 18年秋、東京の丸の内仲通りに「Made in ピエール・エルメ 丸の内(以下、ピエール・エルメ丸の内)」という新しいお店を構えました。
リシャール 日本に上陸した当初、ピエール・エルメ・パリの原材料はほとんどフランスから運んでいたんです。ただ、ビジネスを展開していくうちに、日本各地に素晴らしい食材や調味料がたくさんあることが分かってきました。エルメさんは好奇心旺盛なので、来日の度、日本各地の生産者の所へ行って、自分のクリエーションに積極的に取り入れてきたのです。例えば柚子(ゆず)、わさび、日本茶などは日本固有のものですが、繊細な風味や香りを持っている魅力的な素材。しかも、作り手である生産者の方々は、愛情を持って丁寧にものづくりをしている。そんな姿に深い感銘を受けました。
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