社長の役割は大きなことをはっきりさせること

川島 「とらや 赤坂店」のリニューアルオープン、おめでとうございます。重厚感と格式のある「とらや」が、軽やかな佇まいに変身してびっくりしました。

黒川 ありがとうございます。オープンして3日、私も毎日店の様子を見に行っていますが、なかなか良いスタートを切れたと思います。

川島 現場の社員ががんばってやっていて、何も問題が起きていないということですから、めでたいことです。

黒川 ちょっと寂しいくらいです。社長の役割で言えば、時々出て行って、大きなことだけはっきりさせておいて、後はもう、やってもらえばいいと思っているのです。

川島 そういう社長って、かっこいいです。

黒川 目指してはいるのですが、なかなかそういかないのです。例えば「値札がちょっと曲がっているじゃないか」とか「床にごみが落ちていないか」とか、全部見えてしまうのです。そうすると、言わずにはいられなくなってしまう(笑)。言ってしまってから、社長が出て行っていろいろ言うのは良くないと反省しています。

川島 なるほど、社長とは大変なお役目です。ところで、リニューアルした赤坂店は半世紀ぶりの建て替えということですが、いつ頃から計画を立てていたのですか。

黒川 東日本大震災の前から「そろそろ50年たつし、建て替えようか」という話は出ていたのですが、震災によって耐震の問題がより現実的になり、一気に進めたのです。東京五輪が来るということで、建て替えようにも、建設がらみの高騰や人手不足という問題も出てきて少し遅れましたが、ようやく開けることができました。