パイロットコーポレーションが、実勢価格2000円台前半とリーズナブルな万年筆を発売した。インクが乾きにくく、軸色はシャープなものがそろう。大人のエントリーユーザーが満足する低価格帯の万年筆が登場したといえる。
かつて、万年筆「カクノ」(実勢価格1100円。税込み、以下同)の発売で、子供向けの商品ながら万年筆市場全体を活性化させたパイロットコーポレーションが、大人をターゲットにした新商品を開発して業界関係者に注目されている。もともと同社は3300円の「コクーン」や「プレラ」を大人向けとして商品展開してきた。そして2021年12月、それらよりもさらに安い2000円台の価格ゾーンに「ライティブ」を投入。この製品名は「LIGHT(軽い)」と「ACTIVE(活動的)」を合わせた造語だ。
ライティブに期待がかかるのは、13年に発売したカクノが画期的だったから。子供用にもかかわらず、1100円とは思えないスムーズな書き味、かわいく持ちやすいデザイン、コンバーター対応でボトルインクが使用可能といった点が受け、子供に加えて、大人の万年筆好きや初心者など幅広いユーザーを獲得。市場に与えたインパクトは大きく、現在も売れ行きを伸ばしている。カクノの登場以降、プラチナ万年筆の「プレジール」(1100円)やデザインフィルの「MD万年筆」(2750円)などといった商品にも人気が集まった。
パイロットコーポレーション商品企画部の栗原純子氏は、「万年筆を使いたいけれど、実際に手に取ったことがない大人は多いことが分かってきた。そうしたニーズにもっと直接応えるのが今回のライティブ」と話す。栗原氏は販売職時代にユーザーと接していた経験が長く、「子供向けのカクノはかわいらしいデザインなので、ビジネスシーンには向きにくい。3000円台のコクーンやプレラより、さらに手に取りやすい価格帯での商品化を考えた」と話す。特にプレラは若い女性が使うことを想定して商品設計しているという。
栗原氏がライティブの開発を進める過程で目をつけたのが、自社が海外で発売している「エクスプローラー」という万年筆だ。デザインがスマートで、インナーキャップは高い気密性のため、インクが乾きにくい。これらの特徴はそのまま生かし、色などを「大人のエントリー向け万年筆」というコンセプトに合わせて仕上げていった。
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