ミレニアル世代のニーズをカバーしたボールペンが、ぺんてるから発売された。音ハラスメントの加害者になりたくない20代、30代に向けて、ペン先を出し入れする際に発生するノック音を抑制するという。価格が手ごろなこともあり、ヒットしそうだ。

ぺんてるの「Calme(カルム)」。単色タイプの軸色は左からブルー、レッド、グレイッシュホワイト、カーキ、ブラック。ブルーとレッドは、その軸色と同色のインクで、その他は黒インクだ。ボール径は0.5ミリメートルと0.7ミリメートルの2種類(写真提供/ぺんてる)
ぺんてるの「Calme(カルム)」。単色タイプの軸色は左からブルー、レッド、グレイッシュホワイト、カーキ、ブラック。ブルーとレッドは、その軸色と同色のインクで、その他は黒インクだ。ボール径は0.5ミリメートルと0.7ミリメートルの2種類(写真提供/ぺんてる)

 ミレニアル世代の心に刺さる筆記具が、2021年12月15日に登場。切り口が斬新で、発売前から卸売りや小売りの業界からは大きな反響が寄せられていた。

 ぺんてるの「Calme(カルム)」は、20代から30代が使うスタンダードになることを目指して開発された油性ボールペンだ。ペン先の出し入れ時に発生するノック音を抑える設計が特徴で、単色タイプ、3色タイプ、多機能タイプの3種類がある。単色タイプの実勢価格は165円(税込み、以下同)で、一般的なボールペンと同程度の水準。3色タイプは同440円、多機能タイプは同550円となっている。

3色タイプの軸色はブラック、カーキ、グレイッシュホワイト。いずれも、インクは黒、青、赤の3色。多機能タイプは、黒・赤の2色ボールペンとシャープペンの機能を持つ。軸色はブラック、カーキ、グレイッシュホワイト。3色タイプも多機能タイプも、ボール径は単色タイプと同じ
3色タイプの軸色はブラック、カーキ、グレイッシュホワイト。いずれも、インクは黒、青、赤の3色。多機能タイプは、黒・赤の2色ボールペンとシャープペンの機能を持つ。軸色はブラック、カーキ、グレイッシュホワイト。3色タイプも多機能タイプも、ボール径は単色タイプと同じ

 開発を担当したぺんてる製品戦略本部デザイングループ課長の中沢英和氏によれば、もともと静音設計に着目していたわけではなかったという。「開発当初はゼロベースから考え始めた。筆記のための道具とはどういうものかという根本的な部分を探ろうとしたのが出発点」(中沢氏)。中沢氏から相談を受けたプロダクトデザイナーの三宅一成(かずしげ)氏も、「ボールペンではなく、字を書く道具を改めてデザインしようと考え、ふさわしいかたちについて議論を深めた」と話す。

 そうして「手に持って書いてみたい」と消費者の心を動かす仕掛けを求めていく過程で中沢氏たちが注目したのが、自身や他人の発する音に敏感になっている、消費者の今どきの心理だ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、他人と同じ空間で働いたり、勉強したりすることが当たり前になった。しかしミレニアル世代の多くは、そうなる前からボールペンのノック音を気にしていたのだ。それは他人のノック音だけではない。自分が出すノック音が周囲に迷惑を掛けている、つまり、「音ハラ」の加害者になっているのではないかという懸念も多分に含まれる。

ぺんてるが21年7月末から8月に実施した調査結果。「カフェや図書館など、人の集まる場所で、周囲に自分のボールペンのノック音を不快に思う人がいたのではないかと不安に思ったことがありますか」という問いに対して、「はい」と答えた割合は20代、30代で80パーセントを超えた。60パーセント台にとどまる40代以上とは対照的だ
ぺんてるが21年7月末から8月に実施した調査結果。「カフェや図書館など、人の集まる場所で、周囲に自分のボールペンのノック音を不快に思う人がいたのではないかと不安に思ったことがありますか」という問いに対して、「はい」と答えた割合は20代、30代で80%を超えた。60%台にとどまる40代以上とは対照的だ

 そこで他社製のペンも含めた使い比べの調査を実施するなどして深掘りを進め、静音性の高いボールペンに求められている条件を探っていった。この静音機構を設計したぺんてる研究開発本部の野村恭平氏によると、分かったのは「完全無音は求められていないことと、ノックしたという感覚に対するニーズは高いことの2点」。そうしたポイントを押さえて、カルムはタイプに応じた静音機構を搭載させた。

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