食感が楽しかったり、面白かったりする食品はそれだけで話題になり、ヒットに一歩近づく。ハウス食品がユニークな食感の調味料を発売、訴求する相手は魚嫌いの子供と手ごわいが、一体どんな商品なのか。
「味がおいしい」だけでは食品が売れない時代だ。「とろっと」「もっちり」などに代表されるように、口の中で立体的に広がる食感はヒットにつながりやすい。直近では「ふわしゅわ」といった言葉で食感が表現される台湾カステラが人気だ。2021年8月23日、ハウス食品が発売した新商品の食感を端的に言えば「ザックザック」。このユニークな食感を、魚嫌いの子供やその親にアピールする。
食品スーパーに並び始めた調味料「ザックザックフィッシュ」は生サーモンやマダラ、メカジキなどの切り身にまぶし、フライパンで焼いて調理する。パン粉やコーンフレークなど4種類の衣素材を混ぜている点がポイントで、商品名が示す通り、ザックザックとした食感を味わえるという。発売早々、同じ魚用調味料カテゴリーで首位を走っていた競合と肩を並べる売れ行きを見せた食品スーパーもあるなど、販売初速は良く、増産を予定している。
この商品を開発した食品事業四部ビジネスユニットマネージャーの浅井美奈子氏は、「食感に加えて見た目も含め、消費者の家庭で子供たちにわーっと喜んでもらうのが狙い。衣素材は様々な候補素材から4種類に絞り、量の比率やそれぞれの粒度について検討を重ねた」と説明する。その4種類とは先述のパン粉、コーンフレークに加えて、でん粉や大豆を加工した衣素材。食感は順にサックリ、カリカリ、ガリガリ、サクサクという特徴を持つ。
ザックザックという食感を追求した姿勢がうかがえ、実際はどんなものかが気になるところだ。サーモンにまぶして調理したところ、そのうたい文句は高い水準でかたちになっていると感じた。様々な硬さを同時に感じる複雑なかみ応えで、一言で表せば確かに「ザックザック」という表現が近い。サーモンの軟らかな身とのコントラストが際立つ点も、そう感じさせる一因だろう。揚げたわけではないのに揚げ物の衣特有の軽快な食感や、ゴツゴツとした存在感のある見た目も含めて、子供が喜ぶだろうという印象を受けた。
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