近年は大規模な自然災害が頻発し、避難所生活を強いられるリスクが高まっている。そこで問題となってくるのが、プライバシーをどう確保するか。北陸の繊維メーカーが出した答えは、ポンチョにパーティション機能を付けるというものだった。
毎年8月30日~9月5日は「防災週間」だ(9月1日は「防災の日」)。ゲリラ豪雨や超大型台風など、近年は大規模な自然災害が頻発している。被害は大きく、避難所生活を強いられるリスクも高まっている。
そうした状況を背景に、「マルチポンチョ PA+NCHO」(税込み1万4300円)が2021年6月に発売された。避難所での使用シーンを強く意識したポンチョだ。開発したのは「#合繊でくらしを変えるプロジェクト」。繊維素材を製造するカジナイロン(金沢市)などにより構成されるカジグループが、「繊維メーカーが集まっている北陸をアピールし、製品を直接作りたい」との考えから、20年に立ち上げたブランドだ。
この取り組みをまずは知ってもらい、消費者の評価を直接受けるため、クラウドファンディングの大手プラットフォーム「Makuake(マクアケ)」を使って商品化に至った。防災関連のメーカーや小売店からの引き合いが多く、21年9月以降はカラーバリエーションを増やして、本格的な販売が予定されるほどの人気ぶりを見せている。
「避難所生活の原因の8割は、台風や大雨によるもの。普段は持ち歩いてポンチョとして使い、避難所生活でも活躍する製品を作ろうと考えた」。そう話すのはカジグループの1社であるカジレーネ(石川県かほく市)に所属し、PA+NCHOのチームリーダーを担当した砂山徹也氏だ。これまでのポンチョでも避難所の床に敷いて、ブルーシートのように使えるものはあった。マルチポンチョはそうしたシート機能に加えて、パーティションとして使いやすくした点がポイントだ。
シートとして使うなら1枚の平たい布になれば事足りるが、パーティションとして使うには不便。そのためマルチポンチョは、開いて柱などにくくり付けたり、付属のカラビナ(一部を開閉できる金属リング)を付けたりできるよう、ひもを内蔵している。ひもを付けただけではポンチョとして使うときに邪魔になるので、「使いやすさを維持したまま、収納できるようにした」(砂山氏)という。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー

【最新号のご案内】日経トレンディ 2023年7月号
【巻頭特集】ずるい!ChatGPT仕事術
【第2特集】得する旅行術
【第3特集】シン・ツーリズム
【SPECIAL】山田涼介インタビュー
発行・発売日:2023年6月2日
特別定価:850円(紙版、税込み)
■Amazonで購入する