両手を自由に使えるようになるビジネスリュックは通勤で重宝するものの、夏の暑い日などは背中が蒸れがちになるのが難点だ。こうした悩みを解決する新商品「ラパックエアV2」をエースが発売。その効果はデータで実証済みだという。

エース「ラパックエアV2」。12リットルタイプが実勢価格2万4200円(税込み)で、幅280×高さ390×奥行き130ミリメートル、910グラム。16リットルタイプは同2万6400円(同)で、幅300×高さ420×奥行き140ミリメートル、1060グラム。色はいずれもブラックとグレーの2種類。エースの直営店と同社のオンラインストア、主要百貨店・専門店で販売
エース「ラパックエアV2」。12リットルタイプが実勢価格2万4200円(税込み)で、幅280×高さ390×奥行き130ミリメートル、910グラム。16リットルタイプは同2万6400円(同)で、幅300×高さ420×奥行き140ミリメートル、1060グラム。色はいずれもブラックとグレーの2種類。エースの直営店と同社のオンラインストア、主要百貨店・専門店で販売

 ビジネスリュックを背負うと背中が熱くて蒸れる。とりわけ夏に顕著な悩みで、自転車通勤者などは春や秋でも不満を感じている。リュックのこうした弱点の解決を目指して開発されたのが、エース(東京・渋谷)の「ラパックエアV2」だ。2021年6月1日の発売前から世間の注目を浴び、バッグ販売店からの引き合いも強かった。ラパックエアV2には先代モデル「ラパックエアV」が存在し、それと比べて発売1カ月の売り上げは、販売数ベースで約150パーセントと好調な売れ行きを見せている。

 先代のラパックエアVが発売されたのは、2年前の19年。「背中の熱さを解消するために、消費者や社内から様々なリクエストが寄せられていました。中には『宙に浮くリュックを作れないのか』といった要望など、むちゃと思えるものもありましたね」。こう話すのは、エースの国内商品生産部R&D課でチーフを務める若生然太氏だ。

 もともとアウトドア向け商品の世界では、背中に接触する部分に隙間をつくって通気性を良くする「エアベンチレーション機構」を持たせたリュックがあった。先代のラパックエアVは、それをビジネス向けに応用して開発をスタートさせたという。ただ、難点があった。エース社内には「バッグは頑丈でなければならない」という考えが根強く、その基準をクリアさせた結果、ラパックエアVはかなり重くなってしまったのだ。

 エアベンチレーション機構自体に対する反響はとても良かったため、今回の「ラパックエアV2」では構造を見直し、軽量化を図った。「芯材を見直すこと、また背中からバッグ本体が離れ過ぎると荷物を重く感じてしまうため、その調整を中心に開発しました」と若生氏。前モデルにあった、背面部分が湾曲していて平らなものが入れにくいという問題も解決した。ピアノ線の芯材でフレームを作ることで、背面が平らになるようにして、本体と背中との距離が最適になるように見直している。

背負ったとき、このようにバッグの背面と背中の間に隙間ができる構造になっている
背負ったとき、このようにバッグの背面と背中の間に隙間ができる構造になっている
ピアノ線によるフレーム。これがバッグと背中の間の空間を確保する
ピアノ線によるフレーム。これがバッグと背中の間の空間を確保する
背中に当たる部分はメッシュになっていてさらに蒸れにくい
背中に当たる部分はメッシュになっていてさらに蒸れにくい

約23パーセント向上した放熱性

 前モデルを改良し、今回のラパックエアV2はどう仕上がったか。熱を発生する特殊なマネキンを使って、どのくらい放熱されているかを定量的に評価したところ、15分後の背部の放熱性が、背面がフラットな一般的なリュックに対して約23.3パーセント向上したという。

背面がフラットになっている一般的なビジネスリュックを15分間背負ったマネキンのサーモグラフィー
背面がフラットになっている一般的なビジネスリュックを15分間背負ったマネキンのサーモグラフィー
同じく、ラパックエアV2を15分間背負ったマネキンのサーモグラフィー。一般的なビジネスリュックと比べて、放熱性が約23.3パーセント向上していることが分かった
同じく、ラパックエアV2を15分間背負ったマネキンのサーモグラフィー。一般的なビジネスリュックと比べて、放熱性が約23.3パーセント向上していることが分かった

 筆者がラパックエアV2を実際に背負ってみたところ、確かに蒸れないし、強く吹いた風が背中を通り抜けてとても涼しかった。もちろん自転車に乗ったときにも快適さを感じられるが、そういった体感レベルだけではなく、数値でも実証済みという点で信頼性が高まる。

 使い勝手の面では、ノートパソコンと書類を分けて入れられる2つのメインコンパートメントと、前面上下に用意された、大きめのマチ付きのファスナーポケットに注目だ。後者はバッテリーなどのコロンとした小物も収納できる。「カッチリし過ぎず、しかしビジネスバッグらしい形になるようにデザイナーと相談しながら細部を詰めていきました」(若生氏)と言い、扱いやすいリュックにもなっている。夏のビジネスリュックの新定番になりそうだ。

ノートパソコン収納部。12リットルタイプは13.3インチ、16リットルタイプは15.6インチのサイズに対応する
ノートパソコン収納部。12リットルタイプは13.3インチ、16リットルタイプは15.6インチのサイズに対応する
メインコンパートメント部の内装。必要なものを過不足無く収めるポケット類の配置が絶妙
メインコンパートメント部の内装。必要なものを過不足無く収めるポケット類の配置が絶妙
たっぷりとしたマチのある2つの前面ポケットは便利。ファスナーの開閉もスムーズだ
たっぷりとしたマチのある2つの前面ポケットは便利。ファスナーの開閉もスムーズだ

 ビジネスバッグの主流となったリュックタイプだが、それはここ数年の話。「ビジネスパーソンはバッグを手に提げるもの」という考えがまだ当たり前だった時代に、エースは既に3Wayタイプなどのビジネスリュックを開発。他にも、背中のパッドやストラップなど体に当たる部分が洗濯できる「WPパック」、体の前で抱えたときにも快適に使えるベストセラー「ガジェタブル」、肩の負担を軽くする「ランバームービングシステム」など、数多くのビジネスリュックを手掛けてきた。今回のラパックエアV2に見られる、通勤時の快適さを考慮した設計も同社ならではと言える。

 エースは、「すべての移動を旅と捉え、その旅を快適にする最適なカタチを提供する」をブランド全体のコンセプトにしている。ビジネスバッグの企画に携わるエースMD統括部次長の吉原勇一氏は、「消費者が何となく感じている不便さや不具合に対して、きちんと解決する製品を開発してきた。これからも半歩から1歩、2歩、先を行く製品を出していきたい」と言う。

取材に応じたエースMD統括部次長の吉原勇一氏(右)と、同・国内商品生産部R&D課チーフの若生然太氏(左)
取材に応じたエースMD統括部次長の吉原勇一氏(右)と、同・国内商品生産部R&D課チーフの若生然太氏(左)
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