ファミリーマートが発売した「バタービスケットサンド」シリーズが、9日間で300万食という驚異的な売れ行きを見せている。最近人気の「マリトッツォ」のようにSNS映えする部分が注目されるが、実は大勢でのシェアを狙って開発されていた。コンビニにもアフターコロナを見据えた商品が並び始めた。

半分にカットして取り分ければ、複数の味を試せる
半分にカットして取り分ければ、複数の味を試せる

 ファミリーマートが2021年6月22日に発売した「バタービスケットサンド」シリーズが爆売れしている。発売3日間で100万食、6日間で200万食、9日間で300万食。この勢いは、日経トレンディの「2019年ヒット商品ベスト30」で13位に入ったローソンのスイーツ「バスチー-バスク風チーズケーキ-」に匹敵するものだ。

 ファミマのスイーツにおいては過去最速のペースという。これまでの最速は、20年11月発売の新感覚チーズケーキシリーズが10日で200万食だった。ファミリーマートによると、「20年末から検討していた肝入りのスイーツで、供給体制を整えていたが、製造が追いついていない状況」と話す。

 バタービスケットサンドは、直径5センチメートルのビスケット生地の間にクリームを挟んだスイーツ。最近ヒット中の「マリトッツォ」のようにクリームがたっぷりと入っているのが特徴だ。クリームの違いで、チーズ、ショコラ(税込み各228円)、ラムレーズン(税込み248円)の3種がある。

前列左からラムレーズン、チーズ。後ろがショコラ
前列左からラムレーズン、チーズ。後ろがショコラ

 食べやすさや買い回りを意識してワンハンドで食べられるサイズにし、身近なコンビニで手に入るプチぜいたくを意識して開発された。

左からショコラ、ラムレーズン、チーズ。クリームの厚みがよく分かる
左からショコラ、ラムレーズン、チーズ。クリームの厚みがよく分かる

SNS映えだけじゃない! 家族や同僚とのシェアも想定

 人気の一因は、SNS映えだ。Twitterでは、クリームの厚みが分かるように横から撮った写真に「いいね」が大量に付く。半分にカットして断面を映した“萌え断”写真も見受けられた。映えを意識し、クリームを厚くしたのが見事に当たった格好だ。

SNSには、クリームの厚さを強調する写真が数多く見られる
SNSには、クリームの厚さを強調する写真が数多く見られる

 過去の失敗を生かし、バターや見た目でシズル感を訴求できたこともポイントだ。ファミマは15年9月、ビスケットサンド2種(ラムレーズン、ストロベリー)を発売したが、ヒットに結びつかなかった苦い経験がある。

 「形状は同じで、カスタード入りのバタークリーム。しかし、『バター感が強くてしつこい』『生地の焼き色が薄くて見た目が弱い』といった課題があった」(ファミリーマート)。そこで口当たりが軽めのクリームを採用し、ビスケットの焼き色を濃くしてシズル感を訴求した。

 実は3種類をラインアップしたことにも意味がある。主なターゲットは20~40代女性だが、家族や同僚などと一緒に食べることも想定して開発されている。複数の味を買って、少しずつカットして皿に取り分ける――。そんなアフターコロナの日常を見据え、「シェア」をキーワードにしたスイーツが登場し始めているのだ。

 実際に商品を手に取ると、クッキー部分にしっかり焼き色が付き、バターの香りも合わさって食欲をそそる。クッキー生地はしっとりとしていて、クリームとの相性が絶妙だ。3種類を試したい気持ちはあったが、それぞれの熱量は約220キロカロリーある。一人で複数の味を1度に試すのは難しいため、確かに大勢でシェアするという食べ方には一定のニーズがあるだろう。

 ワクチン接種の進展に伴い、コロナ後を見据えた商品開発は他の様々なカテゴリーにも広がっていきそうだ。

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