なだ万、やまやなどコラボ多数。中小の星は、どう口説く?

 こうしたコラボ商品が三真の強みであり、販売を伸ばしている要因の一つ。企業とのコラボも手掛け、日本料理の老舗・なだ万とコラボした「なだ万 クリームチーズおかき」「なだ万 モッツァレラしっとり煎餅」(ともに税込み190円)も売れ行き好調だ。

なだ万とコラボした「なだ万 モッツァレラしっとり煎餅」
なだ万とコラボした「なだ万 モッツァレラしっとり煎餅」

 創業190年を超えるなだ万からコラボのOKをもらうのは至難の業で、夢破れて去るメーカーは数知れず。三真はなだ万に1年半も通い続け、指摘があれば味や食感を何度も見直した。最終的にはすべての料理長のお墨付きをもらって実現した大作だった。

 実は最初は、海鮮のおかきが作れないかと言われていた。「海鮮には限界があって絶対に売れないと説明すると、ムッとされました。日本を代表する和風の料亭が、洋風のチーズの商品を作るインパクトの方が強い。そこを納得してもらうのに時間をかけました」(加藤社長)。絶対に諦めない職人魂が、一流の仕事人の心を動かすのだろう。

「めんたいマヨネーズおかき」では、めんたいこの「やまや」(やまやコミュニケーションズ・福岡市)ともコラボを実現
「めんたいマヨネーズおかき」では、めんたいこの「やまや」(やまやコミュニケーションズ・福岡市)ともコラボを実現

 ユニークなコラボを展開する三真は、1940年創業の米菓の製造・販売を行う企業だ。あられやおかきの主材料であるもち米にポテトを、米菓にライ麦やえんどう豆を混ぜ込むなど、今までになかった食感や味のオリジナル商品を生み出し続けている。企画で思い浮かんだ味を再現する技術力と、年間12点以上の商品を開発するスピードは大手メーカーから一目置かれ、OEM(相手先ブランドによる生産)も数多く手掛ける。20年11月には、経済産業省の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された。

 なぜ大手メーカーに引けを取らないのか。それは徹底的に差別化する戦略にある。奇抜な商品名やパッケージデザインは小売店のバイヤーの目を引き、コンビニはもちろん、最近では成城石井や東急ストア、3COINSなどの棚にも並ぶほど展開の広がりを見せる。

 お得に感じる大袋をやめ、小袋中心のラインアップにしたのにも理由がある。「消費者が、小さくてもおいしいものを食べるようになってきているためです。コンビニに初めて小袋を持って行った時は、『コンビニの売れ筋は大袋で200円の商品なのに、小袋で売れるわけがない』と言われましたが、それでもすごく売れたのです」(加藤社長)

スーパーの店頭に並ぶ三真のラッキーシリーズ
スーパーの店頭に並ぶ三真のラッキーシリーズ

 パッケージデザインでひときわ目を引くのが、味のあるキャラクターが描かれたラッキーシリーズ(税込み95~120円)だ。社内にデザイナーがいるのかと思いきや、キャラクターは加藤社長自らが描いていた。「作りたいおかきのアイデアが浮かんだら、先にデザインを描いて、その後で味を作る。大手とは逆の発想で開発しています。パッケージに社名を入れないのもデザインを壊さないため。三真なんて会社は知られていませんが、消費者がデザインで買ってくれることを狙っています」

加藤社長のアイデアノートには、「ラッキーコーンマヨ」のラフが描かれてる。左ページには、イヌ用おやつの「こんな時にワン! おやつだよ。」のラフも
加藤社長のアイデアノートには、「ラッキーコーンマヨ」のラフが描かれてる。左ページには、イヌ用おやつの「こんな時にワン! おやつだよ。」のラフも
イヌ用おやつの「こんな時にワン! おやつだよ。」のパッケージ
イヌ用おやつの「こんな時にワン! おやつだよ。」のパッケージ

 奇抜な商品名には、それぞれにストーリーがある。例えば「失敗マヨネーズおかき」は、サイズを変えたマヨネーズおかきを開発する際、製造上の思わぬミスから生まれた。餅の水分量を間違えて膨らみ過ぎてしまったものの、予想外のおいしさに販売が決定したのだ。パッケージには遊び心を盛り込み、ミスをした中島正登氏がかわいく謝るイラストを描いた。今では中島氏に「怒らないであげてください」といった励ましの手紙が来るなど、工場のちょっとした有名人になった。

「失敗マヨネーズおかき」のパッケージを持つ中島正登氏。パッケージの左下にはかわいく謝るイラストが入っている
「失敗マヨネーズおかき」のパッケージを持つ中島正登氏。パッケージの左下にはかわいく謝るイラストが入っている

 ネギ味のおかきである「ネギバカ」は、バカみたいにおいしいネギおかきを作りたいという発想をパッと思いついた。その場にいた女性に題字を書かせ、そのまま製品に使用したという。加藤社長を含め誰もそんなに売れると思っていなかったが、ふざけたネーミングが逆にバイヤーの琴線に触れた。セブン⁻イレブンで2017年に発売すると、店舗ごとに1週間に約11個売れる大ヒット。ここからコンビニでの取り扱いが増えていった。

コンビニでバカ売れした「ネギバカ」
コンビニでバカ売れした「ネギバカ」