最初から具が食べられるおにぎりがあったら――。そんな要望に応えたのが、ローソンが新発売した「スティックおにぎり」シリーズだ。おにぎりの一口目に多発する“具が無い”問題と、コロナ禍における衛生面の不安を解決するアイデア商品。テレワークや家事中の“ながら食べ”の新定番を目指す。
ローソンは2021年3月30日、スティック状に握った「スティックおにぎり」シリーズを発売した(沖縄地域を除く)。コンビニおにぎりといえば三角形や円形が一般的だが、スティックおにぎりはのり巻きのように横長で、のりが無いのが特徴。おにぎりとのり巻き、それぞれの強みを併せ持つアイデア商品が登場した。
「チキン南蛮」「だし香るひれかつ」(どちらも税込み180円)の2種類で展開。ローソンによると、初週の売り上げは好調だという。「主な購入客層は30~40代の男性。昼食目的が中心だが、通常のおにぎりと比べて夕夜間の購入も多かった」。
主なターゲットは、時間に追われがちなビジネスパーソンやドライバー、主婦などを想定。テレワーク中に小腹がすいたときなど、何かをしながらでも手軽に食事ができることを目的に開発された。おにぎりとのり巻きにはそれぞれ特性上の課題があり、それらを解決したのがスティックおにぎりだ。
おにぎり&のり巻きが持つ課題とは?
おにぎりを食べるとき、初めの一口では具にたどり着かず、ちょっと口寂しい思いをした経験は無いだろうか。実際、具材が中央に固まるおにぎりには「一口目から具が食べにくい」といった声が多く寄せられていた。そこで、具材を均等に詰められるスティック型の採用を思い立ったという。
一方で、その形状の定番といえばのり巻きがある。のり巻きなら具材が均一に配置されており、この一口目問題は解決できる。しかしながら、「のりが歯に付くのが気になる」「手巻きタイプだとのりがこぼれる」といった別の問題が生じる。そこで「のりを巻かない」「スティック型のおにぎり」という発想に行き着き、のり巻きとの差別化を図ったのだった。
コロナ禍での新生活スタイルを意識したのも追い風になった。最近は手の汚れが付きにくい商品が選ばれやすいため、のりを手巻きしないことも有利に働く。「パッケージは大きめにデザインし、“持ち手”としても使用できるようにしています」(ローソン)。まさに、スティックおにぎりの特徴と社会のニーズがかみ合った格好だ。
実際、パッケージを開けると簡単に持ち手として使え、チュロスのような感覚で握れるのが楽だ。水平近くに傾けても形が崩れなかったので、ポキっと折れるといった“事故”は起こりにくそう。おにぎりをパッケージの中に戻せばデスクに直置きでき、テレワークや家事中の“ながら食べ”にも向く。そして、おにぎりに触れることなく食べ終えられたのは、やはりうれしいポイントだった。
今後は、具材やご飯の味を変えて品ぞろえを増やしていく予定という。おにぎりとのり巻きがぞれぞれ持つ特性と潜在的な課題を、コロナ禍にうまく適合させたアイデア商品と言える。

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