スーパー戦隊シリーズの第45作目として、2021年3月に放送開始した「機界戦隊ゼンカイジャー」(テレビ朝日系)。戦隊が「人間1人とロボット4人」で構成されるなど異例尽くしの作品だが、4月11日放送の第6話で新たに登場した主人公のライバルとなる役も、当初の想定には無いオーディションから生まれたものだった。そのキャラクターを生み出すきっかけとなった俳優が、2.5次元ミュージカル出身の世古口凌だ。

世古口 凌
せこぐち・りょう。1996年11月5日生まれ、神奈川県出身。167cm 。LIBERA所属。2018年「また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ」(テレビ神奈川)でドラマデビューし、「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」(テレビ東京系)など話題作に出演。自身初となるスーパー戦隊「機界戦隊ゼンカイジャー」では、主人公のライバルとなる、ステイシー役を務める

 日曜朝のテレビの顔である「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」。2021年、記念すべき第45作目となるスーパー戦隊シリーズに名を連ねたのが、「機界戦隊ゼンカイジャー」(テレビ朝日系)だ。仮面ライダーやスーパー戦隊は、若手俳優の登竜門。数多くのブレイク俳優を輩出しており、今もなお注目すべき作品群であることは間違いない。

 機界戦隊ゼンカイジャーは、我々が暮らす世界に、機械生命体の世界「キカイトピア」の一部が混ざりあった世界が舞台となる。キカイトピアの悪の王朝「トジテンド」によって、あらゆる並行世界が小さなギアに閉じ込められてしまったあと、唯一生き残った世界だ。トジテンドの魔の手が伸びたそのとき、主人公の五色田介人と正義の心を持った4人の「キカイノイド」たちが、トジテンドを倒すべく立ち上がる。つまり、「人間1人とロボット4人」が戦隊を構成するのだ。他にも、ヒロインは主人公の祖母でシリーズ最高齢だったり、過去作のスーパー戦隊の技を使用したりと、これまでとは一風変わった物語となっている。

「機界戦隊ゼンカイジャー」は毎週日曜日朝9時30分からテレビ朝日系列にて放送中(c)2021 テレビ朝日・東映AG・東映(画像提供/東映)
「機界戦隊ゼンカイジャー」は毎週日曜日朝9時30分からテレビ朝日系列にて放送中(c)2021 テレビ朝日・東映AG・東映(画像提供/東映)

 異彩を放つストーリーの裏側で、実はキャスティングにも異例の事態が起きていた。主人公を決めるためのオーディションでの、ある若手俳優との出会いから、「彼合わせで新キャラを作りたい」と、当初の予定には無かった主人公のライバルとなる役が生まれたのだ。その俳優こそ、2.5次元ミュージカル出身の世古口凌。まさかの大抜擢だった。

 2.5次元ミュージカルも、若手の登竜門として最近大きなトレンドを作りつつある。世古口も人気作「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」の舞台に出演し、シブヤ・ディビジョンのリーダー飴村乱数役て知名度を上げた。機界戦隊ゼンカイジャーでは、4月11日放送の第6話で、主人公のライバル役・ステイシーとして初登場し、今後も作中の重要なポジションでの活躍が期待される。俳優として着実にステップアップする世古口とは、いったいどんな人物なのか。その胸中に迫った。

――スーパー戦隊への出演、しかもオーディションを受けた主人公ではなく、そのライバルの役に抜擢されたと聞いたとき、どのような気持ちでしたか。

世古口 もちろんうれしいという気持ちにつきますが、やっとスタートが切れるのかなとはずっと思っています。仮面ライダーとかスーパー戦隊とか、やっぱりそこから出てくる俳優さんたちは多い。俳優を始めようと決心したときから、自分もいつか出たいなと思っていたので、そこは一つ目標に達したなという気持ちですね。この作品への出演が、自分が知られるきっかけになったらいいなという思いもあります。

 そもそも今回のオーディションには主人公しか枠が無かったので、ステイシー役に決まったときは180度違うなとはなりました。でも、個人的には「最高だな!」と思っています。僕は正義の味方というタイプではないので。ひねくれているし、不真面目だし。なので、逆にそっちに使ってもらえたというのは、おいしいなと(笑)。もちろん、主人公は主人公で目立つし、みんなが思い浮かべるヒーローっていったら、やっぱり主人公。そういう存在はすごくいいなあと思うし、憧れるんですけど、僕はダークファンタジーとかも好きで、敵側に目が行ってしまうこともあるので、すごくありがたいな、うれしいなと思っています。

オーディションに落ち続けた悔しい経験が大役につながった

――出演のきっかけとなったオーディションには、どのような思いで臨んでいましたか。

世古口 誰とも被らないようにして、それがハマればいいなと思っていましたね。オーディションって、礼儀正しかったり、挨拶がしっかりしていたりするのがいいという風潮があるじゃないですか。実際のオーディション会場でもそういう人が多いんです。もちろん挨拶は大事だけど、まずはそこを一つずらしてみよう、とにかく人と違うことをしようというのは、挨拶から発言まで全部気を付けて考えていました。

 自己PRでも、「これやってました」「これでグランプリを取りました」とかは言わないようにしていました。そういう情報も大事ですけど、それはプロフィールに書いてある。だから「こういうものにハマっています」とか、「自分はこういう人間なんだ」というのを、とにかく飾らずに、素の自分で伝えることを心がけていました。いい子ぶってもばれちゃうんで(笑)。自分らしさは大事にしていますね。

 もちろん最初は難しかったんですよ。これまでオーディションはかなり受けてきたんですが、以前は舞台も映像も広告もCMも雑誌も、全然受からなくて、ことごとく落ちていて。でもそれで分かったのが、「オーディションに行くから」って、自分を作りすぎていたなということです。

 真面目でいい子で、使いたいって思われやすそうな人を演じていたから、そこに世古口凌はいなかったんですよね。みんなと同じ挨拶ができて、真面目な男の子が来た。それだとやっぱり印象が弱いし、受かるわけがないなと気づいてからは、力を抜いて臨むようになりました。今回のスーパー戦隊のオーディションもそうです。堂々と行って、楽しんで帰る。それだけでした。

――スーパー戦隊は、これまで経験してきた作品とはどのような点で違いますか。

世古口 僕は舞台を2年くらいずっとやっていたのですが、その舞台は2.5次元ミュージカルで、原作のキャラクターがすでにいるものが多いんです。なので、今回はイチから自分で作れるという、舞台とは違う楽しさがあります。例えば声でも、自分が想像する声のトーンだったり、出し方だったりを自由にできるので、そこはすごくのびのびやっていますね。今まではキャラクターが先にいて、それに似ているか似ていないかが一つの判断基準になっていたのですが、今回はお手本が無い。自分がベースになって、役を作り上げるのはやっぱり楽しいなと思います。

――撮影中、印象に残っていることを教えてください。

世古口 スーパー戦隊は好きな俳優さんがたくさん出ていたので、小さい頃から見ていました。そこに自分が数年たってから関われるというのは、すごく大きなことだと思っています。過去のレジェンド戦隊についても、もう序盤の撮影で出てきたんですよ。僕、「魔法戦隊マジレンジャー」をよく見ていたんですが、2回目の撮影くらいでマジレンジャーが早速出てきたので、それはテンションが上がりましたね。昔はテレビで見ていたのに、それが今目の前で戦っている! すごく不思議な感覚でした。これからも過去のスーパー戦隊が出てきてくれると思うと、毎回楽しみです。

 僕の演じるステイシーは、今はゼンカイジャーと対立する側にいます。でも根っからの悪者ではなく、ステイシーなりの正義があって、それを貫いているだけ。登場人物みんなの正義がそれぞれ違うだけなので、それがどうつながっていくのか、どう対立しあっていくのかが見どころだと思っています。

 主人公の五色田介人は何にでも挑戦していき、初めてやることに対して正義というか、自分のモットーがあるタイプ。人を巻き込むようなポジティブなキャラクターで、すごく魅力的です。それに対して、僕が演じるステイシーは孤立していて、「あいつを見返したい」などと、自分のためだけに頑張っている。それが彼の正義なので、誰とも協力しなければ、コミュニケーションも取らない。ただまっすぐ目標に向かってやっていくという感じです。

 2人が対峙するシーンも、序盤からありました。今の段階では、そこでもう2人の考え方の違いがばっと出てしまうのですが、台本は撮影しているより少し先までしか把握できていないので、これからどうなっていくのか、自分でも楽しみにしています。

(写真/加藤アラタ、ヘアメイク/中川恵理(AFLOAT XELHA))

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