オーディションに落ち続けた悔しい経験が大役につながった

――出演のきっかけとなったオーディションには、どのような思いで臨んでいましたか。

世古口 誰とも被らないようにして、それがハマればいいなと思っていましたね。オーディションって、礼儀正しかったり、挨拶がしっかりしていたりするのがいいという風潮があるじゃないですか。実際のオーディション会場でもそういう人が多いんです。もちろん挨拶は大事だけど、まずはそこを一つずらしてみよう、とにかく人と違うことをしようというのは、挨拶から発言まで全部気を付けて考えていました。

 自己PRでも、「これやってました」「これでグランプリを取りました」とかは言わないようにしていました。そういう情報も大事ですけど、それはプロフィールに書いてある。だから「こういうものにハマっています」とか、「自分はこういう人間なんだ」というのを、とにかく飾らずに、素の自分で伝えることを心がけていました。いい子ぶってもばれちゃうんで(笑)。自分らしさは大事にしていますね。

 もちろん最初は難しかったんですよ。これまでオーディションはかなり受けてきたんですが、以前は舞台も映像も広告もCMも雑誌も、全然受からなくて、ことごとく落ちていて。でもそれで分かったのが、「オーディションに行くから」って、自分を作りすぎていたなということです。

 真面目でいい子で、使いたいって思われやすそうな人を演じていたから、そこに世古口凌はいなかったんですよね。みんなと同じ挨拶ができて、真面目な男の子が来た。それだとやっぱり印象が弱いし、受かるわけがないなと気づいてからは、力を抜いて臨むようになりました。今回のスーパー戦隊のオーディションもそうです。堂々と行って、楽しんで帰る。それだけでした。

――スーパー戦隊は、これまで経験してきた作品とはどのような点で違いますか。

世古口 僕は舞台を2年くらいずっとやっていたのですが、その舞台は2.5次元ミュージカルで、原作のキャラクターがすでにいるものが多いんです。なので、今回はイチから自分で作れるという、舞台とは違う楽しさがあります。例えば声でも、自分が想像する声のトーンだったり、出し方だったりを自由にできるので、そこはすごくのびのびやっていますね。今まではキャラクターが先にいて、それに似ているか似ていないかが一つの判断基準になっていたのですが、今回はお手本が無い。自分がベースになって、役を作り上げるのはやっぱり楽しいなと思います。

――撮影中、印象に残っていることを教えてください。

世古口 スーパー戦隊は好きな俳優さんがたくさん出ていたので、小さい頃から見ていました。そこに自分が数年たってから関われるというのは、すごく大きなことだと思っています。過去のレジェンド戦隊についても、もう序盤の撮影で出てきたんですよ。僕、「魔法戦隊マジレンジャー」をよく見ていたんですが、2回目の撮影くらいでマジレンジャーが早速出てきたので、それはテンションが上がりましたね。昔はテレビで見ていたのに、それが今目の前で戦っている! すごく不思議な感覚でした。これからも過去のスーパー戦隊が出てきてくれると思うと、毎回楽しみです。

 僕の演じるステイシーは、今はゼンカイジャーと対立する側にいます。でも根っからの悪者ではなく、ステイシーなりの正義があって、それを貫いているだけ。登場人物みんなの正義がそれぞれ違うだけなので、それがどうつながっていくのか、どう対立しあっていくのかが見どころだと思っています。

 主人公の五色田介人は何にでも挑戦していき、初めてやることに対して正義というか、自分のモットーがあるタイプ。人を巻き込むようなポジティブなキャラクターで、すごく魅力的です。それに対して、僕が演じるステイシーは孤立していて、「あいつを見返したい」などと、自分のためだけに頑張っている。それが彼の正義なので、誰とも協力しなければ、コミュニケーションも取らない。ただまっすぐ目標に向かってやっていくという感じです。

 2人が対峙するシーンも、序盤からありました。今の段階では、そこでもう2人の考え方の違いがばっと出てしまうのですが、台本は撮影しているより少し先までしか把握できていないので、これからどうなっていくのか、自分でも楽しみにしています。

(写真/加藤アラタ、ヘアメイク/中川恵理(AFLOAT XELHA))


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