ミニストップで発売中の、にんにくを全面に押し出したスナック菓子が好調だ。コロナ禍での生活スタイルや働き方の変化で、今までに考えられなかったにんにく需要が到来。あえて酒に合う濃い味付けにしたことで、特に30~40代男性の心をつかんだ。
国内のミニストップで発売する、にんにくを全面に押し出したスナック菓子シリーズが好調な売れ行きを見せている。コロナ禍の巣ごもり生活で拡大した家飲み需要をうまくつかみ、濃い味付けに振り切ったのが主に30~40代男性の心を捉えた。ツイッター上では、「予想以上ににんにく臭くてうまい」「すげぇ~ニンニク!」といった声が上がり話題になっている。
にんにくは体を温める作用があり健康に良いとされるが、その強烈なにおいから、食べる場面を制限されることが多い。ミニストップのスナック菓子でも、にんにくをここまで押し出した商品はなかった。このタイミングで発売したのはなぜだろうか。
にんにくを利かせたスナックは、2020年5月に販売された第1弾「ポテトチップス にんにくパンチ」(以下、いずれの商品も税込み108円)から始まった。当初1カ月間での完売を目指していたが、1週間でメーカー在庫が無くなるほどの人気商品に。20年12月に第2弾「ポテトチップスからあげパンチ にんにく醤油味」を発売すると、最も売れる定番スナック菓子の売り上げと比較して1.25倍と好調が続いた。
シリーズの好調を受け、21年3月23日にガーリック粉末を使用した第3弾「辛みそホルモンスナック」を、同30日には第4弾「ポテトチップス スタミナパンチ」を2週連続で投入した。
ミニストップによると、にんにくを利かせた商品を開発したのには2つのわけがある。「コロナ禍で家飲み需要が増し、酒に合う濃い味付けのおつまみが伸びるのではないかと考えました。普段だとにんにくの臭いは気になりますが、人と会う機会が減っていますし、マスクを付ければある程度隠せます。カップ麺でもにんにくを利かせた商品が注目されていたため、スナックにも取り入れました」(ミニストップ)。にんにくの欠点が生活スタイルの変化で解消され、良い面がクローズアップされるようになった格好だ。
実際に、辛みそホルモンスナックを食べてみた。袋を開けた瞬間から、にんにくの強烈な香りが部屋中に広がる。一口食べると、口の中だけではなく、鼻を抜ける香りまでもがにんにく一色だ。お茶を飲んでも、そのにおいはなかなか消えない。もっとも、テレワークで出社もしなければ、取材もビデオ会議システムで行うため、においがバレることはない。他人の“鼻”を気にする必要が無くなったことが、やはり人気の秘密なのだろう。
これほど“破壊力”があっては、消費者に敬遠されることも考えられそうだが、「開発時から薄めの味は検討せず、濃いめの味を多い時で5~6パターン試作して決めています」(ミニストップ)。ただし、濃くし過ぎると塩辛くなってしまうので、1袋を食べきれるくらいの味加減に調整しているという。
5月ごろには、第5弾となる「アンチョビガーリック風スナック」の発売を予定。新型コロナ感染拡大前にはあり得なかった、振り切った商品が消費者の心を捉えている。巣ごもり生活に合ったにんにく味の需要はまだまだ続きそうだ。

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