失敗を生かして生まれたのがチョコミントだった

 売り上げワースト5 

●第5位 ガリガリ君 グレープミント(販売終了)

 01年発売、60円。「当時の売上本数が現在の3分の1であることを差し引いても、あまり売れませんでした。味として意外性を狙いましたが、グレープとミントの組み合わせが受け入れられなかったようです」。

●第4位 ガリガリ君リッチ グリーンスムージー(販売終了)

 17年3月発売、130円。健康を意識したスムージーブームに合わせ、10種類の野菜と3種のフルーツ、さらに食物繊維が豊富なチアシードも加えた。「健康ブームに乗ったものの、見事に失敗しました……。ガリガリ君に楽しさや面白さを求める人と、グリーンスムージーを飲む人は違っていたんだなと思います。朝の品川駅で『朝アイス』という無理なテーマを作って、1000本を無料配布するイベントも開催しました」。

●第3位 ガリガリ君リッチ たまご焼き(販売終了)

 19年10月発売、140円。たまご焼き味のかき氷の中に、味付きのたまご焼きを入れ、粉末のしょうゆで味付けした。「もともと、たまご焼きが嫌いな人はほとんどいないはず、日本の東西でたまご焼きの味が変わるのも面白いのではないか、という考えからスタートしました。開発段階からアレンジレシピが出ることを想定しており、狙い通り、SNSではしょうゆを追加したり、大根おろしを添えたりする人が続出しました。話題になっても販売がさっぱりだったのは、そもそもアイスにしょうゆを入れるのが間違っていたような気がします。なぜ売れなかったのかアンケートを取ったところ、『味が想像できない』という回答が多かったことにガッカリしました」。

●第2位 ガリガリ君リッチ サンキューベリーマッチャ(販売終了)

 11年9月発売、100円。抹茶かき氷を、練乳入りのアイスキャンディーでコーティングした。商品名は、「サンキューベリーマッチ」と「抹茶」を掛け合わせたダジャレから誕生。ダジャレを使ったのは岡本氏が知る限りこの商品だけだが、売り上げもスベってしまった格好だ。実は19年2月に発売した「ガリガリ君リッチ 抹茶あずき」も苦戦しており、ガリガリ君と抹茶の食い合わせがよくないことが分かっている。「抹茶のかき氷は夏場に売れるので、秋冬の発売タイミングがよくなかったのでは。ガリガリ君の新味を買う層と、抹茶が好きな層とがズレていたのではないかとも考えています」。

●第1位 ガリガリ君リッチ ナポリタン(販売終了)

 14年3月、120円。トマトゼリーが入ったナポリタン味のかき氷を、ナポリタン味のアイスキャンディーでコーティングした。「ナポリタンの失敗は桁違いでした(約3億円の損失)。12年に発売したコーンポタージュ味の大成功を受けて大量生産したものの、計画通りにいかなかったためです。よく考えたら、ナポリタンの失敗を3位のたまご焼きに生かせておらず、またおかず系を作ってますね(笑)。失敗が悪いというわけではなく、ネタとして広告になるため、いいチャレンジだったと思います」。


 ワースト5を振り返り、「トレンドを狙って開発するものの、何が売れるかは予想がつきません。事前にネットが盛り上がっても、売れないものもあるんです」と岡本氏。大失敗のリスクを減らすため、「ナポリタンやグリーンスムージーの失敗を生かし、自分たちが作りたい味ではなく、市場動向やユーザー視点の分析を重視するようになりました」。

 実際にグリーンスムージーを購入した消費者を分析したところ、新規客が極端に少なかったという。新味の開発には、ガリガリ君を買っていない層にも目を向けてもらう目的があるが、これでは手間をかけてまで新味を出す意味が薄れてしまう。そこで新味を決定するフローを変更し、「消費者の間口の広さを考え、アイス市場でウケる味のトレンドを調べた中から、ガリガリ君でまだ発売していない味を選ぶようにしました。こうして誕生したのがベスト4位のチョコミントです」(岡本氏)。

 新しいフローを生かし、21年1月に「ガリガリ君ジンジャーエール」と「ガリガリ君レモンスカッシュ」、2月に「大人なガリガリ君キウイ」と立て続けに新味を投入した。全国小売店の販売データを集計する日経POS情報で、2月のガリガリ君シリーズの販売金額を調べると、全体の約4割が「ソーダ」で、「キウイ」、「レモンスカッシュ/ジンジャーエール」がそれぞれ1割を占めていた。しかし、新味はソーダと比べて置いてある店舗数が格段に少ない。商品がある店舗に絞った「出現店千人当り金額」でみると、どちらもソーダを上回ってヒットの兆しを見せている。

 21年3月後半からは、40周年を記念したスタンプが押された限定パッケージのソーダが、全国で出回る予定だ。さらに5月には、40周年を記念したガリガリ君の新味発売を控える。15年ぶりに消費者アンケートを取り、1位になった味を発売する計画。赤城乳業の公式Twitterでは、色が付いていないパッケージデザインと、メインカラーがピンク色であることがすでに発表されている。選ばれた味は「圧倒的な票数だった」(岡本氏)という。

40周年を記念したのガリガリ君のスタンプ
40周年を記念したのガリガリ君のスタンプ
みんなで選んだ記念の味のパッケージ。気になる味は、ガリガリ君の表情がヒントという
みんなで選んだ記念の味のパッケージ。気になる味は、ガリガリ君の表情がヒントという

 子供が片手で食べられるかき氷ができないか? そんな思いから発売したガリガリ君は、国民食とも言えるアイスに成長した。市場動向に重きを置いたとはいえ、閉塞感が漂う今だからこそ、消費者は想像の斜め上を行く新味を待ち望んでいる。攻めと守りのバランスが整ったガリガリ君の次の一手に注目だ。


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