幕の内弁当なのにごはんが入っていない――。そんな衝撃の「幕の内弁当風おかず(ごはん無し)」を2021年3月9日、ファミリーマートが発売した。ごはんは家にあるから、おかずだけ入っている方が都合がいい。在宅勤務需要により、これまでにない弁当がヒットを呼び寄せた。

幕の内弁当のおかずのように、品数が充実
幕の内弁当のおかずのように、品数が充実

 ファミリーマートが2021年3月9日に発売した「幕の内弁当風おかず(ごはん無し)」は、一見、普通の弁当のようだが全く違う。おかずだけが入っているのだ。

 焼きサバ、海老天、コロッケ、ちくわ天、シューマイ、煮物、和風パスタと、バラエティー豊か。これで、税込み398円。ファミリーマートが21年2月に発売した、ごはんが入った「ミックスグリル弁当」「炙り焼さば弁当」が共に税込み498円であることを考えると、妥当な値段と言える。置かれているのは弁当コーナーより、総菜コーナーであることが多いようだ。

 「ごはん無し弁当」は、21年1月26日に発売したお母さん食堂シリーズ「のり弁風おかず」に次ぐ第2弾。こちらも、のり弁とうたうにもかかわらず「ごはん無し」「のり無し」というツッコミどころの多い商品で、SNSで話題になった。なぜ、このシリーズを継続しているのだろうか。

「幕の内弁当風おかず(ごはん無し)」。税込み398円
「幕の内弁当風おかず(ごはん無し)」。税込み398円
電子レンジで温められる
電子レンジで温められる

「おかずだけ欲しい」新たな巣ごもり需要

 第1弾の売れ行きの傾向としては、「おかずとして他の惣菜と一緒に購入するだけでなく、おつまみとして酒やファミチキなどのホットスナックとの併せ買いも見られた」(ファミリーマート)という。メインの購入層は40~50代の男性だが、他のおつまみ系惣菜カテゴリーと比較すると、5%ほど女性の購入割合が高かったそうだ。

 これを「おかず盛り合わせ」という商品ではなく、あくまで「弁当風」としたのは、コロナ禍による在宅時間の増加が影響している。「毎日ごはんは炊いているが、おかずを作るのが大変という人は増えている。『お弁当の具だけ』という商品のニーズがあるのではないかと考えた」(ファミリーマート)。

 実際にツイッター上では、「ごはんは家にあるから、弁当にはいらない」「これだけおかずの品数があると助かる」といった声が上がっていた。コンビニ弁当を外出先で食べるだけではなく、家で食べるニーズも定着していることがうかがえる。

 実は、ごはんを無くすことで製造上のデメリットが生まれた。ごはん付きの弁当を電子レンジで温める際には、ごはんに含まれる水分がおかずの乾きを防ぐ役割を果たしている。弁当風の商品ではその仕組みが使えないため、「エビやパスタなどに八方だしのジュレを載せ、温めると溶ける工夫をした」(ファミリーマート)。

おかずの渇きを防ぐため、八方だしのジュレがかかる
おかずの渇きを防ぐため、八方だしのジュレがかかる

 コンビニ弁当は普通、蓋が透明な容器に入っているが、この商品はあえて中身が見えない黒い容器を使用し、容器に貼ったシールのイラストで内容を説明する。これにも理由がある。「駅弁などに使われるような昔ながらの弁当箱風の容器を採用することで、開けた時のワクワク感を演出し、他の弁当との差別化をした」(ファミリーマート)。コロナ禍で駅弁に心躍らせる機会が少なくなったぶん、新鮮さが増す。

 今後は、これまでの売れ行きを見つつ、第3弾を出すかどうかを判断するという。ちょっとしたワクワク感のある容器で、おかずだけがしっかりと詰まった弁当は、コロナ時代の弁当ニーズを先取りしていると言えそうだ。

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