スタンド部分を引き出すと、すっと立てられるユニークなビジネス用バックパック。チャックを開ければ様々な仕事道具を分けて入れられる。テレワークやモバイルシーンで、まるでデスクの引き出しのように使える「STAND BACKPACK」(コクヨ)の開発背景とその実力を探った。

コクヨの新製品「STAND BACKPACK」。収納するノートパソコンのサイズに合わせ、13.3インチモデルが1万6500円(税別)、15.6インチモデルが1万9000円(同)。ネイビー・ブラックとダーク・グレーの2色展開
コクヨの新製品「STAND BACKPACK」。収納するノートパソコンのサイズに合わせ、13.3インチモデルが1万6500円(税別)、15.6インチモデルが1万9000円(同)。ネイビー・ブラックとダーク・グレーの2色展開

 コクヨが2021年2月に先行販売を開始した「THIRD FIELD(サードフィールド)」は、テレワーク時代を見据えた新ブランド。“オフィスを持ち出す”ことを主眼に置いたビジネスバッグやドキュメントスタンドなどのアクセサリー類を展開する。その中核にあるのが、「STAND BACKPACK」という“立てられる”ビジネスリュックだ。

 開発がスタートしたのは19年7月。その過程で行われたのが、実際のコワーキングスペース「WeWork なんばスカイオ」で働く人々をじっくりと観察することだった。そこから、リュックの具体的なアイデアやアクセサリーの必要性が見えてきたという。

 完成した製品は、一般的なビジネスバッグとは明らかに異なる特徴を備えている。開発チームが何よりも優先したのが、まず“立つ”ということ。「ワークスペースでの働き方を観察している中で目立っていたのが、仕事中に床にだらしなく横たわっているリュックだった。そしてガジェット類はテーブルに散乱。そこで、自立して、ガジェット類の出し入れも簡単に行えるリュックを作りたいというアイデアが生まれた」とコクヨ クリエイティブプロダクツ開発部の木下郁氏は語る。

 ユニークなのは、一般的なバックパックのフロントポケットにあたる部分が、まるごと「立たせる」ためのスタンドとして機能すること。ショルダーストラップを幅広のバンドで押さえる仕組みも、3Wayバッグ的な発想ではなく、床に垂れていると衛生的に問題があるし、だらしなく見えるという視点で作られている。こうした発想は、バッグメーカーではなく「オフィス家具メーカー」としてのコクヨならではと言えそうだ。

初期のデザインスケッチ。様々なアイデアから“オフィス家具としてのバッグ”という商品が生まれた
初期のデザインスケッチ。様々なアイデアから“オフィス家具としてのバッグ”という商品が生まれた
最も苦戦したのは、スタンド部分のデザイン。写真右のように側面に開き留めを設けることで、背負ったときにも一体感が出るようになった(両方とも試作品)
最も苦戦したのは、スタンド部分のデザイン。写真右のように側面に開き留めを設けることで、背負ったときにも一体感が出るようになった(両方とも試作品)

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