AI(人工知能)を使った学習教材を開発するatama plus(アタマプラス、東京・品川)が、入試改革に乗り出す。駿台と「共通テスト」のオンライン模試を成功させたノウハウを生かし、立命館のオンライン入試の開発を進める。代表取締役の稲田大輔氏は、「AIを使った学習は共通テスト対策に実は向いている」と話す。その真意を聞いた。
政府が2020年、小中学生にパソコンやタブレットなどの端末を行き渡らせるなどの「GIGAスクール構想」を発表し、AIを使った様々なデジタル教材が脚光を浴びている。その代表格である「atama+(アタマプラス)」は、主に中高生をターゲットとするパーソナライズ教材。タブレットを使って出題される問題に答えると、その正誤や解答時間などからAIが問題の理解度を判断。小学校の学習内容にまで遡って知識の“穴”を探し出し、その穴を埋めるための解説動画や問題を提示する。
従来の勉強法では、理解しているところとそうでないところを明確に区別するのが自分でも難しく、分かる範囲でも何度も解き直すしかなかった。自分用にパーソナライズされた教材であれば、分かっているところは飛ばし、抜けている部分をピンポイントで補うといった効率的な勉強が可能だ。
原則的に個人での利用はできず、主に学習塾向け。特定のコースを申し込んだ塾生へのサービスとして提供される場合が多い。講師が専用アプリ「atama+ COACH」を使って生徒の学習状況をリアルタイムで確認し、コーチングすることで学習効果を高められるのが特徴だ。順調に進んでいる生徒については「褒める準備をしましょう」、同じ問題に10分以上かかっている生徒については「眠くなっているかもしれません」といったアラートが講師に届き、適切な声かけが生徒のモチベーションを高めるのだという。オンライン授業の場合には、電話やウェブ会議システム「Zoom」などで声かけする。
採用する塾からの要望を受けて対応教科は増え、21年2月5日現在、高校生向けに数学、英語、物理、化学の4科目、中学生向けに数学、英語、理科の3科目、小学生向けに算数を提供する。21年3月からは、高校生物と中学社会を追加予定だ。
デジタル教材では他に、「Qubena(キュビナ)」(COMPASS)や「すらら」(すららネット)といったサービスがある。前者は学校向けが中心で、手書き入力など解答形式が豊富なのが特徴。後者は勉強が苦手な子向けに、教材を進めていくとアプリ内で使えるアイテムが手に入るといったゲーム要素を取り入れる。その中で、講師からのコミュニケーションまで支援するコーチング機能を導入しているのはatama+だけだ。
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