高島屋オンラインストアでは2021年1月、バレンタインチョコが前年の3倍ペースで売れている。ステイホーム、テレワークの時代にチョコのプレゼント需要は減りそうなものだが、なぜ売り上げが増えたのか。それは近年強まっている“自分用チョコ”のトレンドに、コロナ禍が拍車をかけたためだ。新しい生活様式に合わせた 「非接触」チョコによる、かつてないバレンタインがやってきた。

自分用チョコとして人気の「ゴンチャロフ アニマルショコラ コレクション W」は、SNS映え抜群。オンライン飲み会のつまみにも合う
自分用チョコとして人気の「ゴンチャロフ アニマルショコラ コレクション W」は、SNS映え抜群。オンライン飲み会のつまみにも合う

 日本のバレンタインは、女性が意中の男性にチョコを贈る記念日として1950年代に定着した。時の流れとともにチョコの意味は多様化し、お世話になった人に配る「義理チョコ」や友達に贈る「友チョコ」に加え、近年では自分への「ご褒美チョコ」といった言葉まで誕生した。

 2021年はコロナ禍でどうなることかと思いきや、1月6日にバレンタインチョコの販売をスタートした高島屋のオンラインストアでは、1月28日時点で前年同期比約3倍の売り上げと爆発的な伸びを見せている。ステイホームやテレワークが一般的になったことに加え、21年のバレンタインデー(2月14日)は日曜日だ。人と接する機会が少なくなることから、義理チョコや友チョコの需要は減りそうなもの。それでも、ここまで販売が伸びたのはなぜだろうか。

 その理由は、“自分用チョコ”だ。実は、バレンタインは近年、日ごろ頑張っている自分にチョコを贈る日へとシフトが進んできている。ジェイアール東海高島屋が16年に発表した「バレンタイン意識調査」(3000人強が回答)では、「バレンタインチョコに使う金額のうち、自分用チョコの割合が5割以上」と回答した人が51%となり、初めて半数を上回った。前年の34%から17ポイントもアップし、自分用チョコが広く受け入れられるようになっていた。そして21年1月発表の最新調査では、これが59%とさらに高まったという結果が出ている。

 オンライン通販が伸びたのは、この自分用チョコ需要に拍車がかかったためだ。20年は遊びや旅行を控える人が多かったため、ちょっとした贅沢として「ご褒美チョコ」に財布のひもが緩んだ人が増えたとみられる。自分用ならネットでも買いやすく、画像をじっくり見て選んだり、人との接触を避けたりといった利点もある。高島屋ではバレンタインチョコの売り上げのオンライン比率が年々少しずつ増えており、20年は全体の15%ほど。それが21年は20%近くまで上昇するとみている。

 コロナ禍ではネットを介したコミュニケーション(SNSやオンライン飲み会など)が広まったが、その際に画面映えがするカジュアルチョコのニーズが高まったのも、自分用チョコの人気が加速する一因。記事のトップで紹介した「ゴンチャロフ アニマルショコラ コレクション W」(税込み6480円)は、ネコやイヌといったキャラクター16個がセットになった一口大のチョコの詰め合わせ。“映えるチョコ”として幅広い年代から人気を集めている。20年は店頭のみで販売していたが、映え需要の拡大を想定して21年からオンライン販売にも対応した。高島屋のバイヤーの古川泰照氏は、「衝撃を受けると壊れやすいため、箱を二重にしてさらにクッションを入れるなどして、配送が可能になった」と語る。

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