学校法人角川ドワンゴ学園 が運営する「N高等学校」が今、存在感を示している。20年に5565人が入学し、開校から5年で生徒数は1万5000人を超えて日本一のマンモス校に。授業で使用する学習アプリ「N予備校」を一般向けに開放したことでも注目を集めた。N高が伸びる理由を奥平博一校長に聞いた。
N高等学校(沖縄県・うるま市、以下N高)はインターネットの授業を中心とする高校で、IT大手のドワンゴとメディア・出版大手のKADOKAWAが2016年に設立した。通信制高校の制度を活用し、高校卒業資格の取得に必要な学習を好きな時間にできるのが強みだ。部活や運動会、遠足(年3回)といった行事もネット上で再現。年に5日程度ある対面授業(スクーリング)や期末テスト(原則年1回)を受けること以外は、ネットを中心とした学校生活を過ごす。
新型コロナウイルスの感染拡大で、全国の教育現場はオンライン授業への移行を余儀なくされた。「生徒の理解度が分からない」「コミュニケーションが取りづらい」といった課題が指摘されていた中、N高ではいつも通りの授業を続けている。卒業式と入学式、コロナ禍前は幕張メッセで開催されていたイベント「ニコニコ超会議」内で行っていた文化祭も完全にオンライン開催になったが、大きな混乱はなかったという。奥平校長は「ネットでの授業の変化はまずなかった。生徒にとってはオンラインのツールを使うことが当たり前で、特別ではなかったため」と振り返る。
授業では「N予備校」というオリジナルアプリを使用する。映像授業を受ける、リポートを提出する、といったことが1つのアプリで完結する。20年3月には、全国の小中学校・高校が休校になったことを受け、N予備校をいち早く無料開放に踏み切った。休校によって学習の機会が無くなって困る生徒がいるだろうと判断し、これまでのノウハウを役立ててほしいと考えたという。インターネット行動ログ分析サービス「VALUES eMark+」(ヴァリューズ)によると、20年3月のユーザー数は9万4300人と推定され、1万人だった前月比で9.4倍、前年同月比では約21倍に跳ね上がった。5月末で無料開放が終了するとユーザー数は減ったものの、元の水準と比べて数千人の底上げとなった。
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