2020年に急激な成長を遂げた「骨伝導ヘッドホン」の主要メーカーであるAfterShokzから、テレワーク向けのヘッドセット「OpenComm」が登場した。20年10~11月に実施したクラウドファンディングでは、約40日間で8200万円以上の支援総額を獲得。その人気の秘密をAV評論家の折原氏一也氏が探った。

フォーカルポイントの「AfterShokz OpenComm」。同社の直販サイトでは1万9998円(税込み)で販売する
フォーカルポイントの「AfterShokz OpenComm」。同社の直販サイトでは1万9998円(税込み)で販売する

 コロナ禍に見舞われた20年には、ZoomやTeamsなどのビデオ会議が一気に市民権を得た。この流れに乗って、これからブレークしそうなのが「骨伝導ヘッドセット」だ。通常のイヤホンやヘッドホンは、耳穴付近で鳴らした音が空気を伝って鼓膜を振動させることで聞こえる。これに対して骨伝導ヘッドホンは、頭蓋骨を振動させて聴神経に直接音を伝える。骨伝導ヘッドホンの最大のメリットは耳穴を塞がなくても音が聞こえることだ。

 コロナ禍でテレワークが進んだことにより、自宅で音楽を聴いたりウェブ会議に参加したりするためにヘッドセットを使う人は増えた。しかし、密閉型のヘッドホンを付けていると、家族などから呼びかけられたときに気づきにくい。また長時間装着していると、耳が痛くなったり炎症を起こしたりすることもある。骨伝導なら、頬骨付近に振動子(骨伝導トランスデューサー)が当たるだけなので、長時間付けていても負担が少ない。こうした特徴が注目され、骨伝導ヘッドホンは20年に大きく伸長した。例えばイヤホン専門店の「e☆イヤホン」(タイムマシン)では、2020年上半期には前年同期比で13倍もの骨伝導イヤホンが売れたという。ただそれでも、まだワイヤレスヘッドホン市場全体で見れば1%以下でしかない。まだ大きな伸びしろがあるのだ。

 しかし、これまでの骨伝導ヘッドホンは、ランニング中に音楽を聴くなどスポーツ用が多く、「テレワーク向け」をうたった製品はほぼなかった。そこに登場したのが、米AfterShokzが開発した骨伝導ヘッドセットの「OpenComm」だ。テレワーク向けにマイク機能を強化しており、日本での販売を手掛けるフォーカルポイント(横浜市)が、「GREEN FUNDING」で20年10月22日からクラウドファンディングを開始すると、公開後わずか26分で目標金額50万円を突破。11月30日の期間終了までに約8257万円の支援を集めた。これは20年12月上旬時点で、GREEN FUNDINGの歴代9位という記録的な支援金額だ。

GREEN FUNDINGでは、支援金額で歴代9位、支援人数(4227人)で同8位。複数購入する人もおり、計5000本ほどを販売したという
GREEN FUNDINGでは、支援金額で歴代9位、支援人数(4227人)で同8位。複数購入する人もおり、計5000本ほどを販売したという

 日本より先行して20年10月から製品を販売している米国では、OpenCommは「物流や工場など、騒音の多い仕事現場向けのヘッドセットとして開発されている」(フォーカルポイント)。しかしフォーカルポイントは国内向けでは戦略を変更し、在宅勤務中のビデオ会議など、テレワークでの利用を訴求する。今回、実機をテストする機会を得たので、ヘッドホンやマイクの性能を様々な利用状況でチェックしてみた。

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