横浜アソビルで開催中の「バンクシー展 天才か反逆者か」。外出自粛下で休止していたが、5月30日に再開。その後盛況で、9月27日の終了まで人気がますます高まるだろう。コロナ禍の世界の状況を描いた新作も相次いで投稿され、世界が注目した。世界最大級のヒットメーカーといえる、バンクシーをどう見るか。
※日経トレンディ2020年8月号の記事を再構成
本名や姿を明かさずに創作活動を続ける覆面ストリートアーティスト、バンクシー。世界中でコロナ感染が拡大し、多くの人がテレワークを余儀なくされた4月、インスタグラムで新作が発表された。「私が家で働くと妻が嫌がる」というコメント付き。その後、コロナ禍で奮闘する看護師をヒーローになぞらえた新作や、米国の人種差別問題を扱った作品が続けて投稿され、そのたびに、世界中でニュースとして取り上げられた。“今最も熱いアーティスト”であることは間違いない。
2020年は日本でバンクシーに関する2つの大規模展覧会が相次いで開かれることになり、期待を集めていた。
5月30日に再開したのは外出自粛規制で3月末から休止を余儀なくされていた横浜・アソビルの「バンクシー展 天才か反逆者か」。2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港をめぐり、100万人以上が来場したという世界巡回展。バンクシーからは「非公認」展覧会とされているものの、作品はコレクターたちが集めた本物と認められた作品で、オリジナル作品も多数展示されている。
冒頭の展示はバンクシーの製作現場と思しきスタジオ。座る覆面の男はバンクシーなのか? いきなり謎の男と対面する。先へ進むと、スクリーンプリントの創作過程の映像、ごく初期に手掛けていたレコードジャケットなども展示され、アーティスト・バンクシーの創作の瞬間に立ち合っている気分に。やがてバンクシーが「反消費」「イギリス政治への批判」「反戦争」「監視社会批判」などのメッセージを込めた作品が続く。アンディ・ウォーホルにインスパイアされた『ケイト・モス』など、数多くの代表作と出会う。ところどころ作品が描かれた壁の大型写真パネルもあり、現場にたたずんでいるような錯覚に陥る。
再開後は「感染対策のため、事前予約制をとっているが、週末は前日までに予約で定員に至ってしまうこともあります」(「バンクシー展」製作委員会プロデューサー小林将氏)と、人気は上々だ。
会場を歩くうち、来場者に男性の姿が多いことに気付く。「ゴッホ展や印象派展といった美術館で行われる大型美術展とは客層が大きく違います。年配の美術ファンより、20~40代の男性やビジネスパーソンが半数以上を占めている印象です」(前出・小林氏)。
なぜバンクシーは、普段は美術館に足を運ばないような男性やビジネスパーソンの心まで捉えるのだろうか?
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