※日経トレンディ 2019年2月号の記事を再構成

地球の人口増加に伴い、肉などタンパク質の供給不足が懸念されている。解決策となる新タンパク源として注目されているのが、牛や豚より少ない飼料で効率よく生産できる「昆虫」だ。そんな中、京都のベンチャー企業BugMoが、コオロギのタンパク質を使ったプロテインバーを発売した。現在は主に公式の通販サイトで販売する。

BugMo「BugMo Cricket Bar」
【食品】
●直販価格(※)/2本セット980円(税別)、6本セット2900円(同)など
●栄養成分(1本)/抹茶味206kcal・タンパク質10g、チョコ味195kcal、タンパク質10.6g

 粉末にしたコオロギが原料のため、見た目に昆虫らしさは全くなく、しっとりとした食感。味は蜂蜜(抹茶味の場合)やデーツ、レーズン(チョコ味の場合)などの濃厚な甘みが中心だ。品種としては野生のコオロギと変わらないが、「土のない環境で養殖しており、有害な重金属を体内に蓄積していない」(BugMo)という。

 1本で約200kcal、タンパク質含有量約10gで500円程度と、既存のプロテインバーと比べてコスパは悪い。それでも同社がニーズを見込むのは、ヨガやピラティスに親しむ層だ。「ハードな筋トレでなくてもプロテインが重要という認知が広がっているが、一方で彼らには、いわゆる動物性食品や添加物を避けたいニーズもある」(同社)。コオロギは肉よりオメガ3脂肪酸の比率が高いのも利点だ。

 現状はサイズがやや大きいが、2019年2月頃には一口サイズの商品も発売予定。また、コオロギの風味をむしろ生かした新商品の準備も進めているという。注目の食材であることは間違いない。

抹茶味とチョコ味の2種類。現在は公式サイトの他、一部のフィットネスジムの店頭で販売する。賞味期限は7カ月(開封前)
抹茶味とチョコ味の2種類。現在は公式サイトの他、一部のフィットネスジムの店頭で販売する。賞味期限は7カ月(開封前)
食感は軟らかく、クルミやカシューナッツ入り
食感は軟らかく、クルミやカシューナッツ入り
現状、コオロギはすべてタイで養殖したもの。安価な大豆かすや油かすを飼料に使えるという理由でコオロギが選ばれた
現状、コオロギはすべてタイで養殖したもの。安価な大豆かすや油かすを飼料に使えるという理由でコオロギが選ばれた
1食にコオロギ50匹分の粉末を使用
1食にコオロギ50匹分の粉末を使用
ヒット予報
コスパの問題もあり販路は広がりにくく、このプロテインバー自体は当面ニッチな存在か。むしろ同社が今後計画する、コオロギの風味を生かした、一般家庭の食卓にも上がる新型食品に期待

注)※1月以降に価格改定の可能性あり

この記事をいいね!する

日経トレンディ7月号

【最新号のご案内】日経トレンディ 2023年7月号
【巻頭特集】ずるい!ChatGPT仕事術
【第2特集】得する旅行術
【第3特集】シン・ツーリズム
【SPECIAL】山田涼介インタビュー
発行・発売日:2023年6月2日
特別定価:850円(紙版、税込み)
Amazonで購入する