本特集ではこれまでデータを活用して、マーケティングをリアルタイム化することで、わずか3カ月で売り上げを倍増させたエルフィード(東京・中野)やコストを半減させながら来店率を1.4倍に高めたアディダス ジャパンなどの事例を紹介してきた。今日はリアルタイムマーケティングを実現するためのサービスやツールを選択するポイントを考察する。

2018年に日本でもサービス提供が相次ぎ群雄割拠の情勢になりそうなのがリアルタイムの動画配信で商品を売り込む「ライブコマース」だ。ベンチャー企業から、大手ネット企業までサービス提供が相次いでいる。
ライブコマースとはリアルタイムの動画配信、視聴者からのコメント機能、そしてECの機能を包含したサービスだ。配信者がリアルタイムの動画で商品を紹介しながら、コメント機能を通じて視聴者から寄せられる質問に回答するなどのコミュニケーションをする。紹介されている商品を欲しいと思えば、動画を見ながらすぐに購入できる。店頭の実演販売をネット上でも実現可能にするサービスとも言える。
新たな市場が過熱する中、先進的なマーケターなら他社に先駆けて利用することで知見をためて、本格的な普及に備えたいと考えるのではなかろうか。ただ、どのサービスを採用すべきか頭を悩ませることになりそうだ。
2つに大別できるライブコマース
サービス選びのポイントは、ライブコマースサービスの提供企業の成り立ちにヒントがある。1つはインフルエンサーマーケティングの支援事業者だ。従来はSNS上で影響力のあるインフルエンサーを通じて、広告主の商品やサービスの認知の拡大を支援してきた。そこに動画とECの機能を持つライブコマースを加えることで、直接的な販売支援までつなげることを狙う。起用したインフルエンサーのアカウントを通じて動画を配信して、フォロワーに売り込むのが基本的な利用法だ。単発的に商品を売り込むことを目的としたキャンペーン用途に向く。
もう1つは、ECのモール事業者やフリーマーケットアプリ事業者が新たな販路として出店者にライブコマースを提供するケースだ。自社の公式EC店や公式アカウントを設置して商品を並べて定常的に商品を販売しながら、新商品発売のタイミングなどに応じて、都度ライブコマースを活用しながら顧客との関係性を強化してファン作りをしたい企業にうってつけだろう。
前者の代表例としては動画マーケティング支援事業のCandee(東京・港)の「Live Shop!(ライブショップ)」、Flatt(東京・渋谷)の「PinQul(ピンクル)」などが挙げられる。InstagramやYouTubeの流行によって、一般的には有名ではないが、数十万人から数百万人のフォロワーを持つインフルエンサーが誕生した。さらにそのインフルエンサーに続く存在として、数万人から数十万人のフォロワーを持つ「マイクロインフルエンサー」と呼ばれる存在が注目を集めている。
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