米アマゾン・ドット・コムを筆頭に、国内外EC企業が実店舗との連携で、データの収集や新たな収入源の確保に乗り出している。この状況にリアルな店舗を持つスーパーなどの小売業が、AI(人工知能)やビッグデータをフルに活用して反撃ののろしを上げた。九州・福岡のスーパー「トライアル」の取り組みを中心に、メーカーや卸売業など連携した流通サプライチェーンの最先端を全8回の連載で紹介する。
2018年2月、福岡市の東にある埋め立て地「アイランドシティ」に流通業界はもちろん、デジタルマーケティングやIT(情報技術)業界が注目するある店舗がオープンした。
スーパーマーケットとドラッグストアの機能を兼ね備えた24時間営業の都市型店舗だ。この日、朝8時半の開店前から、平日であるにもかかわらずクルマや自転車で駆けつけた近隣住民が列をなした。そしてカメラを構える報道陣、同業の流通業と思われる視察団も目立った。
出店したのは、九州を地盤にして全国にドラッグストアなど200店舗以上を展開するトライアルカンパニー(福岡市)。「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」を投入した同社は、ITを積極的に取り入れて急成長してきた会社として知られている。
アイランドシティは博多湾を埋め立てて造成した新興地域であり、福岡市は港湾などを生かして国際化の戦略エリアに位置づけている。近年、病院や幼稚園、学校、飲食店、スーパーマーケット、公園などの都市機能も充実し、30歳代、40歳代のファミリー層が多く集まり、活気のある街として発展している。
今回、新店が注目を集めているのは、そうした立地だけではない。AIの最新技術をフルに取り入れているからだ。
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