第一部「深セン最新トレンド」の5回目。顔認証で決済できる店が既に登場するなど、中国の画像認識技術は世界でもトップクラス。この分野をけん引するセンスタイムは、公安当局(警察)が運営する防犯カメラなどから膨大な量のデータを入手し、これらをAI(人工知能)の教師データに活用して認識の精度を飛躍的に引き上げることに成功した。ホンダと提携して自動運転にも応用され始めた同社の実力を、現地取材から明らかにする。

昨年10月末にオープンした深センの巨大ショッピングセンター「万象天地」。そこに“世界最先端”の「ケンタッキーフライドチキン」の店舗がある。
客を出迎えるのは店員ではなく、液晶ディスプレー。タッチパネルで商品を選び、騰訊控股(テンセント)が運営する「ウィーチャットペイ(WeChat Pay)」か、アリババ集団傘下のアント・フィナンシャルサービスグループが運営する「アリペイ(Alipay)」という2大決済アプリのいずれかを使って、支払いまで済ませる。これだけでも日本より進んでいるが、この店はさらに先を行く。「スマホ忘れた? 電池切れ? 手が離せない? そんなときは顔認証を試してみて」──そう書かれた看板が立っているのだ。


サービスを提供しているのは、アント・フィナンシャルだ。顔認証決済を選択すると、画面の上にあるカメラに顔を向けるよう指示される。顔写真が撮影されると、今度はアリペイに登録した携帯電話番号を入力するよう求められる。そして5秒ほどすると、決済は終了。スマホを取り出す必要はない。
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