第一部「深セン最新トレンド」の4回目。プログラミングなどを通じてIT時代のもの作りを学ぶ「STEM教育」がひと足先に中国で過熱という背景もあり、深センには先端ロボット技術を持つメーカーがひしめく。子供に通用する技術の高さと、子供でも手が届く低価格の両立を目指して日常生活への浸透を図る動きが、いったいどんな活力を生み出すのか──。ロボットを軸に深センで何が起きているかをリポートする。

 深センの中心部から山を一つ越えたニュータウンに、その会社はあった。科学・技術・工学・数学の頭文字を取った「STEM教育」向けのロボットを開発している「メイクブロック(makeblock)」。設立からわずか5年というスタートアップ企業ながら、今や売り上げの7割を欧州など海外で稼ぎ、昨年からはソフトバンクと組んで日本にも本格進出した。

 ソフトバンクの「ペッパー」、シャープの「ロボホン」など、日本のロボティクスは世界屈指のレベル。ただ、どれも個人が買うには二の足を踏む価格で、日常生活に入り込むまでには至っていない。これに対し、深センのメーカーは子供をターゲットにした教育用のロボットから攻めている。

 メイクブロックの代表的な製品「mBot」は、小学校低学年をターゲットにした組み立て式のロボット。日本円で1万円台前半とリーズナブルながら、赤外線や距離センサーなどを備え、プログラミングの基礎を学べる。ちなみにソニーから発売されているSTEM教育ロボットは5万円台だ。また、今年夏ごろに日本でも発売予定の「codey rocky」はジャイロスコープや画像、音声を認識するAI(人工知能)も搭載。子供でも簡単に、最先端の技術の一端に触れられる。

組み立て式のmBot
組み立て式のmBot
深センには、組み立て教室のスペースを備えた旗艦店をオープン
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AIの仕組みを学べる最新ロボット「codey rocky」
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