企業間の取り引きはビッグデータでどのように見え、本当に地域に貢献している企業はどこなのか。そしてデータに基づくことで政策の立案や実行はどう変わるのか。経済産業省が中心となって国が2017年末に選定した2148社の「地域未来牽引企業」について、ビッグデータを提供した帝国データバンクがビジュアライゼーションをフルに活用し、ケーススタディをまじえて5回にわたって解説する。本記事は書籍『ビッグデータで選ぶ地域を支える企業』を基にしている。

帝国データバンクは民間企業のプロファイルや業績、それぞれどこの企業と取り引きをしているのかのビッグデータを保有しています。これは日本全国にいる調査員が実際に企業に出向いてインタビューをして、数字や文字のデータにしているものです。
この企業間の取引データを用いて、産業や地域、さらには個別企業の取引構造を明らかにしたいという企業や社会の依頼は、2000年代の後半から増加しました。マスメディアは「ネットワークが密なところには影響が強く出るのではないか」、国は「産業連関表に近い計算ができるのではないか」、大手商社や金融機関は、「取引構造とはその会社のビジネスモデルそのものではないか」と考えるようになったのです。
取り引きには調達戦略が反映
誰と取り引きを行うかは、企業が行う選択の連続とその結果の積み上げで示されています。産業財の場合、取り引きは継続的に行われることが多いため、取り引きを行うことは同時に決済のリスクを負うこととなります。 決済のリスクや管理などにかかる間接コストを抑制することや、取り引き1件当たりにおける収益の最大化を目指すために、どうしても主要取引先との取引率が増加する傾向があるのです。
全体を見ると、どの企業も主要な取引先に集中しますが、その選択内容は異なります。仕入も販売も取り引きという行為においては、企業が行う選択の結果であるため、企業の調達戦略が反映されやすくなります。
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