モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の12回目。前回まではクルマの未来に目を向けてきたが、あらゆる交通サービスを統合するMaaSにとって鉄道は不可欠。国内の鉄道会社も静観しているわけではない。東日本旅客鉄道(JR東日本)は技術革新中長期ビジョンで「『モビリティ革命』の実現」を目指している。昨年9月には「モビリティ変革コンソーシアム」の設立を発表。同社はMaaSとどう向き合うのか、その答えを求めた。

JR東日本が技術革新中長期ビジョンで描く、サービス&マーケティング分野での技術予測例。“Now, Here, Me”をキーワードに掲げる
JR東日本が技術革新中長期ビジョンで描く、サービス&マーケティング分野での技術予測例。“Now, Here, Me”をキーワードに掲げる

 発足から30周年という節目を翌年に控えた2016年、JR東日本は約20年後をターゲットに技術革新中長期ビジョンを発表した。この概要の一つとして掲げられたのが「“Now(今だけ), Here(ここだけ), Me(私だけ)”の価値の提供」だ。ユーザーの流動や車両・設備のデータに加え、バスやタクシーといった交通機関、自動運転技術やシェアリングの進展が著しいクルマなどのデータともリアルタイムで連携。トータル・トリップ・タイムの短縮など、乗客一人ひとりに応じた情報提供を目指すという。さらに将来的には二次交通との高度な連携など、マルチモーダルによるスムーズな「Door to Door」の移動サービスを提供するともうたう。

JR東日本が考えるDoor to Doorの移動と情報提供
JR東日本が考えるDoor to Doorの移動と情報提供

 中長期ビジョンでMaaSという言葉は使われていないが、かなり早い段階から類似の概念を持っていたといえる。この違いについて、総合企画本部技術企画部の中川剛志次長はこう説明する。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

この記事をいいね!する