モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の11回目。自動車メーカーがプラットフォームの覇権争いで名乗りを上げるなか、最後に笑うのは誰か。実は日本にも、フィンランドのMaaSグローバルのように自らはクルマや鉄道を所有せず、中立的な立場でモビリティサービスを統合し得る企業がある。膨大なユーザーを抱えるNTTドコモや、ユーザー数のみならず運行情報や無二のデータを持つナビタイムジャパン(東京・港)がその好例だ。2社は「MaaSオペレーター」のポジションに座することができるのか。前回のドコモに続き、ナビタイムの取り組みを追う。

鉄道はもちろん、クルマ、自転車、バス……あらゆる移動手段のナビゲーションサービスを展開するナビタイムジャパン。今年1月には、路線バスの全国カバー率100%を達成した。これらの独自データはMaaSへとつながるのか……
鉄道はもちろん、クルマ、自転車、バス……あらゆる移動手段のナビゲーションサービスを展開するナビタイムジャパン。今年1月には、路線バスの全国カバー率100%を達成した。これらの独自データはMaaSへとつながるのか……

 あまたのユーザーとの接点を武器に、中間的な立場でモビリティの統合を図るNTTドコモ(前回の記事を参照)。一方、やはり4100万という月間UU(ユニークユーザー)と480万人という有料会員を抱え(2017年12月時点)、MaaSオペレーターへの好ポジションに付けているように見えるのが、経路検索アプリ「NAVITIME」などを展開するナビタイムジャパンだ。すでに膨大かつ独自のデータを駆使して多様な交通情報を提供しており、各事業者とのつながりもある。

 MaaSに向けた取り組みに対し、同社の大西啓介社長は「まだ何か提供するという段階ではない。シェアリングの連携は徐々に始めている」と冷静に話す。

 シェアリング連携の一つが、前回の記事にも書いたNTTドコモの子会社ドコモ・バイクシェアが提供する自転車シェアリングだ。現状は、「自転車NAVITIME」で自転車単体の経路検索のみ可能だが、「将来的には、公共交通に自転車をプラスして経路をナビゲーションするといった形に発展していくだろう。他にも例えば、カーシェアリングは電車との連携話が以前から一番多い。電車を降り、レンタカーを借りるより素早くクルマに乗れ、その利便性も分かりやすい。こういった連携は遅かれ早かれ実現すると思っている」(大西氏)という。

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