モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の10回目。自動車メーカーなどがプラットフォームの覇権争いに名乗りを上げるなか、最後に笑うのは誰か。実は日本にも、フィンランドのMaaSグローバルのように自らはクルマや鉄道を所有せず、中立的な立場でモビリティサービスを統合し得る企業がある。膨大なユーザー数を抱えるNTTドコモや、ユーザー数のみならず運行情報や無二のデータを持つナビタイムジャパン(東京・港)がその好例だ。2社は「MaaSオペレーター」のポジションに座することができるのか。2回にわたって解説する。

2017年11月、NTTドコモがカーシェア事業に乗り出した。クルマが「所有から利用へ」と変化するなか、「利用」が中心になれば千万単位のユーザーとの接点を持つ同社にチャンスがあると踏んだのだ。ビジネスモデルの立ち位置は従来のカーシェア事業者と異なり、その戦い方はMaaSへの布石にも見える。
ドコモがスタートした「dカーシェア」は、一般的なBtoCの「カーシェア」に加え、CtoC(個人間)の「マイカーシェア」、さらには「レンタカー」まで、3つのサービスが1つのプラットフォームで利用できるのが特徴。しかも、BtoCカーシェアやレンタカーは自前ではクルマや拠点を持たず、既存サービス事業者と提携し、それらを束ねてユーザーとのマッチングを行う。CtoCカーシェアを含め、端的にいえば仲介・決済サービスの集合体だ。

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