モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の3回目。カーシェアや鉄道、バス、タクシーといった、あらゆる交通サービスを統合し、移動の効率化を目指すMaaS。この概念を最初に提唱し、「生みの親」と呼ばれるのが、フィンランドのベンチャー企業、MaaSグローバルの創設者であるSampo Hietanen氏だ。生みの親が語る“本物”のMaaSとは一体何か。現地フィンランドで独自インタビューを行った。

2018年1月、米家電見本市のCESでトヨタ自動車の豊田章男社長は、クルマを製造する会社からモビリティサービスを提供する会社への転身を宣言。これにより、MaaS (Mobility as a Service)という新味のある言葉が、日本でも一般に広く知られるようになった。
MaaSがもたらす価値としては、クルマの範囲にとどまらず、鉄道やバス、タクシーといった移動サービス全般が連携することで、あらゆる移動を効率化し、都市計画にすら影響を及ぼすことまで想定されている。将来の社会によりダイナミックな変化をもたらす概念だ。

その源流となるのが、フィンランドに拠点を構えるベンチャー企業、MaaSグローバルだ。同社の創設者であるSampo Hietanen氏は、MaaSという概念の「生みの親」として知られる存在。自社開発したスマホアプリ「Whim(ウィム)」では、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関を複数組み合わせて、予約から決済まで可能にしている(詳細は第2回「MaaSに必要なエコシステムとは? 先進フィンランドの教え」)。欧州を中心にMaaSに関する法整備のガイドラインの策定などを進める「MaaSアライアンス」の理事も務めており、17年には、トヨタファイナンシャルサービスや、あいおいニッセイ同和損保、デンソーが相次いで出資。世界中のモビリティ業界関係者が注目する人物の一人だ。
生みの親が語る“本物”のMaaSとは一体何か。その誕生の背景と、モビリティ社会にどんな変化をもたらすコンセプトなのか。現地フィンランドで独自インタビューを行った。
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