特集「P&Gマフィア」 連載第2回「ロート製薬で100億円事業を生んだ少数派の実感」はこちら
ヒットの裏に「P&Gマフィア」あり――。マーケティング業界を席巻するエリート集団をご存じだろうか。P&Gマフィアとは、日本コカ・コーラの和佐高志副社長、スマートニュースの西口一希執行役員など、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)出身で目覚ましい業績を上げている人々を指す。商品づくりから経営まで。なぜこれほど活躍できるのか。7人のマフィアへの取材から浮かび上がったのは、P&Gでの成功体験から生み出した課題解決法だった。

マフィアと聞くと物騒なイメージだが、海外では米オンライン決済サービス会社ペイパル出身の有名OBを「ペイパルマフィア」と呼ぶなど、いくつか類例がある。ペイパルは米テスラのイーロン・マスク氏、米リンクトイン創業者のリード・ホフマン氏などを輩出し最も有名だが、日本でも、P&G出身者がこれに負けず劣らずの活躍をし、P&Gマフィアの呼び名が広まっている。
「日本コカ・コーラに入社した当時、(緑茶ブランドの)『綾鷹』の市場シェアは1%にも満たなかった。それが今では、売上高が1000億円を超えるブランドになった」
こう語るのはマフィアの1人、日本コカの和佐氏だ。P&Gから日本コカ・コーラに転じたのは2009年。P&Gで培ったマーケティングの経験を生かし、綾鷹の立て直しに取り掛かった。
そのころ展開していた緑茶ブランドは3種類あった。1つは綾鷹、残りの2つは「一(はじめ)」ブランドで展開していた「茶花」と「茶織」だ。一ブランドの両商品を併せた市場シェアは12%を獲得していた。一方の綾鷹といえば、投入から3年が経っても一向にシェアが高まっていなかったという。「社内では綾鷹のブランドを廃止して、異なるブランドを作る機運が高まっていた」(和佐氏)。
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