これまで本誌では、何度も色をテーマに特集してきたが、いずれも「トレンド色」に関する内容だった。今、流行っている色を取り上げ、商品開発にどう反映されているかを紹介してきた。
だが今回の色の特集では、そうしたトレンド色ではなく、各企業が色をどのように捉え、商品の差異化や企業のブランディングに活用しているかを取材した。その理由は、単にトレンド色を追うだけでは、もはやユーザーのニーズをつかみきれなくなっているからだ。
商品の見栄えや格好良さをアピールするために色を使うのではなく、他社にない商品の独自性や特徴を表現したり、企業からユーザーに示したいメッセージを伝えるために、色が重要な役割を担うようになっている。さらにブランディングでも色の重要性が今まで以上に議論されてきており、企業の意識改革を社内外にアピールする際にも色が使われるようになっている。それだけ色が果たす役割が広がっており、他社では味わえない独自のユーザー体験にまで結び付けることができれば強い。もちろん、これまでも色が大きな効果を上げてきた。だが無難な色を選択すれば、それなりに認知されても、すぐユーザーから飽きられてしまう。単なるトレンド色だけでは、商品や企業の特徴がユーザーに伝わらず、ヒットに結び付きにくい。
これからの色の役割は、トレンド色だけを追うのではなく、商品が持つ特徴をアピールできるようにすることだろう。そのためには、どんなユーザーに向けてどんな商品を売りたいかを明確にして、その思いが伝わるような色を採用するべきなのだ。そして企業の方向性やブランディングに結び付くようにするため、社内で使われる色に、統一感を持たせることが重要だ。トレンド色を追うだけでなく、企業からのメッセージを独特な色で表現し、ユーザーに認知させることが求められる。
色が持つ役割が広がる
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