新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークの導入など日本企業の働き方は大きく変わりつつある。ただ、今後も働き方改革を本格的に進めていくには、モニタリングツールを用いて社員個々の業務の現状把握が必要になりそうだ。
2020年4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が発令され、企業の多くは出社禁止やテレワークの拡大に動いている。しかし、日本にはいまだにファクスや書類、はんこを多用する「紙文化」が存在し、取引先と書類などをやり取りする営業など最前線の社員はもちろん、バックオフィスで働く人たちも、本格的なテレワークはなかなか難しいかもしれない。
ただ、これをきっかけに確実に日本の働き方は変わるだろう。今までテレワークに消極的だった企業も、事業を存続させるためには導入を検討せざるを得ない。そして、この検討が事業を見直す契機になる。
筆者の会社も、20年2月中旬から時差出勤とテレワークを実践しており、同年3月からはほぼフルリモートで仕事を進めている。社内の日常的な仕事は「Slack」でやり取りし、プロジェクト管理ツールで進捗を相互に確認し合い、クライアントとの打ち合わせは、インターネットを使ったビデオ会議システムの「Zoom」や「Webex」、それに「Teams」などを使うことが当たり前になってきている。導入には苦労も多いが、実際に運用してみると、デジタルツールを活用することで現行業務の可視化が進み、生産性は向上していくことも分かってきた。
生産性を向上させるなら、まずは現状把握から
これまで日本の正社員は、長時間労働を続けているにもかかわらず、その生産性が向上していないと言われている。18年の日本の労働生産性は、主要先進7カ国でデータが取得可能な1970年以降、最下位の状態が続いているのだ(※1)。日本政府も、この状況をただ看過しているわけではなく、2018年には「働き方改革関連法」を成立させ、その中で長時間労働の是正などを焦点とした。ただ、この視点だと、生産性の向上ではなく、労働時間を減らすこと自体が目的化しかねない。
働き方改革の本来の目的は、働きやすく、生産性の高い状態を生み出すこと。そのゴールに向かう際に生じる課題をどう解決していくかがポイントだ。その結果、労働時間が削減される。この目的を達成するためには、テクノロジーを用いて現状をファクトベースで効率的に把握し、仕事を自動化していくことが求められる。
現行業務の改善について、これまで多くの企業は社員へのアンケートやヒアリングなどを基に実施してきた。この場合、企業が負担する時間やコストは大きく、業務を見える化するまでの社員の負担も大きい。インタビューをされたり、アンケート対応をしたり……。そして、人間ゆえのバイアスも生じてしまい、正確なデータ取得は困難となる。
モニタリングツールを活用すべき
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