ディープラーニング(深層学習)に代表される人工知能(AI)は、画像認識率の精度を大きく引き上げ、人の「眼」に代わる能力を備える機械がこれまでにないインパクトを様々な業界にもたらそうとしている。その1つが医療業界である。
レントゲン画像をはじめ、MRI(磁気共鳴)画像やCT(コンピューター断層撮影装置)画像といった医療画像と専門医による診断をセットにした教師データを深層学習技術で学習させた、医療画像診断支援アルゴリズムは、今後の医療業界に大きなインパクトをもたらすことになる。このアルゴリズムは、未知の医療画像の特徴量を抽出して、正常か異常か、異常の場合にどんな病気の可能性があるのか、診断を支援してくれる医療機器になるからだ。診断精度の向上だけでなく、深刻化する専門医師不足の解消にもつながる。
日本国内においてこの分野で先行する1社が、ライフサイエンス分野でAIによる画像解析のソリューションを提供する、東京大学発スタートアップ企業のエルピクセル(東京都文京区)だ。同社は国立がん研究センターをはじめ、東京大学医学部附属病院や順天堂大学医学部附属順天堂病院など十数の医療機関と連携しており、脳外科を中心に医療分野の専門家と一緒に開発している。
グローバルへの第一歩を踏み出す

そのエルピクセルがついにグローバル展開の第一歩を踏み出した。昨年11月27日、米国シカゴ市にある北米最大のコンベンションセンター「マコーミックプレイス」で開催された、世界最大の放射線医学フォーラムであるRSNA2017(第103回科学会議と年次総会)のステージにエルピクセル創業者の島原佑基代表取締役の姿があった。
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