(※NIKKEI DESIGN 2017年8月号の記事を再構成)
Q 日清シスコ、サントリーに学ぶ、長寿ブランドの若返り策とは?
【A】
日清シスコやサントリー食品インターナショナルは定番ブランドとしての認知度にあぐらをかかず、パッケージを情報発信の有力なメディアと捉え、利便性も重視してリニューアルしてきた。情報発信を続けることで、新しいユーザー層にアピールしている。
長く愛されてきたブランドには、どうしてもユーザーの高齢化という問題がつきまとう。この先もブランドを持続していくためには、従来のユーザーを満足させながら、新しいユーザーを取り込むブランド戦略が求められる。
日清シスコの「ココナッツサブレ」は、1965年から続く長寿ブランド。発売当初は、ココナッツを配合した斬新なビスケットとして評価され、よく売れた。その名を聞けば、すぐにパッケージや味が思い浮かぶほどブランドは認知されている。しかし、年を経るほどにユーザーは高齢化し、売り上げは低下し続けた。
5枚ずつの個別包装に変える
「このままでは先はない」。危機感を抱いた松長直樹マーケティング部第二グループ・ブランドマネージャーは、若年層のユーザーを開拓するため、ブランド50周年を翌年に控えた2014年にリニューアルに踏み切った。
それまでのパッケージは、白い雲流柄の地に茶色と金のストライプが入る。地味な印象で、まさに昭和世代が懐かしさを感じるデザインだった。新パッケージではベースを市松模様に変え、茶色を明るい色味にしたほか、ロゴの文字間を詰めたり、白いシャドーを入れたりする変更を加えて、モダンな雰囲気を打ち出した。「変え過ぎると従来のファンが逃げていく。でも古臭いイメージを変えたかった」(松長ブランドマネージャー)。“変えずに変える”ぎりぎりの選択によるリニューアルだった。
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